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なぜドラッグストアやコンビニで「青果」や「精肉」はあるのに「鮮魚」がないのか。

更新日:2022年3月12日



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回はタイトルの件について、八百屋さんの視点から解説していきたいと思います。

「八百屋さんなのに、肉や魚のことを語れるのか? 専門外のことなんじゃないの?」と思われましたか? まあまあそう焦らずに。この話は、八百屋さんとしての話にも後々関係してくる話なので、お付き合いいただけますと幸いです。



さて昨今、野菜を販売しているコンビニ、よくみるようになりましたよね。

そういうコンビニって、あわせて生のお肉も販売したりしています。便利ですよね。

でもなぜか、不思議なことに、鮮魚は扱ったりしないんですよね。

スーパーではおなじみの、野菜、肉、魚のトリオ。どうして魚だけが、仲間外れなのでしょう?



実は「専門性」と関係があります。

試しに、コンビニの店員さんに野菜のことを質問してみてください。ドラッグストアの店員さんに、お肉のことを質問してみてください。「今が旬の野菜って、どれですか?」「この野菜はいつまでもちそうですか?」「この肉はどう調理するのに向いていますか?」「この肉はトリミングしなくても大丈夫ですか?」

たぶん、「はぁ?」と言われると思います。

あるいは、頑張って答えてくれるかもしれませんが、不明瞭な回答に終始すると思います。

でもそれはまあ、当然ですよね。

コンビニやドラッグストアで働いている方のほとんどは、普通の大学生や主婦など、一般の方がほとんどです。品出しやレジ係として、アルバイトに応募してきた方々なのですから。八百屋や肉屋になるために来たわけでは、当然ありません。なので、野菜やお肉の知識が備わっていないのは、当然の話なのです。

でも、野菜や肉というのは、専門知識がなくても、販売できます。

野菜というのは、売り場に並べるだけで済みます。特別難しいことはありません。そして腐ったりしたものがあったら引っ込めればいいわけです。簡単ですね。

お肉に関しては、パックセンターでパックに入れられて、賞味期限とか産地とか、全部印字されてから、お店に来ます。なので、お店にいる人は、そのパックを並べるだけで済みます。これも、並べるだけなので簡単ですね。

じゃあ、肉と同じように魚もパックセンターでパックしたものを並べればいいんじゃないかと思うかもしれませんが、魚に関しては、実はこれが非常に難しいんです。

まず、賞味期限が短いです。

刺身は当日です。朝に魚が届いて昼に捌いて売り場に出したとしても、その日の閉店までには売り切らなければいけません。実質、販売期限は半日です。仮にパックセンターで朝捌いたとしても、お店に来る頃には、日が暮れてしまいます。

また、魚種や価格がその日の仕入れによって変わります。この魚をいくらでいくつ仕入れて、いくらで価格設定し、どれだけ売るのか。それを全魚種分判断しなくてはいけません。この魚の相場は今高いのか、安いのか。この魚は今旬なのか、時期外れなのか。こういう判断は、高度な魚の専門知識をもった人でないと、難しいでしょう。魚の知識のない大学生アルバイトが、レジ係の募集を見つけてコンビニに入ったとして、いきなり魚の勉強をしろ、と言われても、一昼夜で身につくものでもないでしょう。

なので、コンビニやドラッグストアでは、鮮魚を販売することができないのです。

魚は、魚屋さんしか、販売できないものなのです。



実は、スーパーでも、コンビニやドラッグストアと同じような体制になってきているところもあります。

魚屋さんは専門家を揃えなければいけませんが、お肉と野菜に関しては、並べるだけだし、アルバイトで運用しよう、というわけです。

なので、スーパーから、お肉と野菜に関する専門家がいなくなりつつあります。

今までは、お肉コーナーでは、日によってはいろんな部位が楽しめる売り場になっていたでしょう。厚切りにしたお肉がお買い得だったり、ハンバーグが沢山売っていたり、変わったお肉が売っていたりしました。そしてそれを、どう調理するのがおすすめかを案内する専門家がいたわけです。でもその人がいなくなれば、特売はコマ切ればかりになります。だって、売るのが難しい部位は売れなくなりますからね。

野菜も同じです。コンビニやドラッグストアで、キャベツや白菜は売っていても、松茸やタケノコ、ゼンマイ、銀杏など取り扱いが難しい野菜を販売できているところはあるでしょうか? 京野菜、加賀野菜、近江野菜など、地域の伝統野菜を扱えるお店はあるでしょうか? スーパーから野菜の専門家がいなくなれば、スーパーの野菜の種類は、今コンビニやドラッグストアで扱っている、使いやすい、見慣れた野菜だけになるでしょう。扱える人がいなくなるわけですから。



というわけで、表題の答えですが、

「鮮魚は専門家がいないと販売できないけれど、青果、精肉は、専門家がいなくても販売できるから」でした。

でも、はたして、青果、精肉の専門家は、いなくなるのが定めなのでしょうか?? 必要とされないような世の中になっていくのでしょうか?

確かに、確実に、八百屋さん、お肉屋さんは減っています。野菜やお肉の知識を備えている人は、売り場から確実にいなくなりつつあります。



そんな逆境の中、八百屋さんとして生き残るために、八百屋テクテクは暗中模索しています。

もっと必要とされるためには、どうすればいいのか。

八百屋さんとして、できることはないのか。

そういう問題意識をもって、日々のお仕事に取り組んでいます。




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