寺﨑農園様~豊かな土壌と技術で作る、絶品さつまいも~



芦原温泉街の北は丘陵地になっており、その丘陵地をさらに北上すると、やがて海が見える小高い場所に出ます。 海の見える場所まで来ると、本当に静かです。 遠くで揺れる波の音がかすかに聞こえそうで聞こえない。 そんな場所に寺﨑農園があります。 ​ ​「んで、何を答えればいいんや」 寺﨑さんにインタビューをお願いした時、戸惑いながらそうおっしゃいました。 たぶん私のような人間が訪ねてくるのは初めてなのかもしれません。 私のように生産者さんに直接お会いして特徴を聞き出そうとする販売員は、ほかに見たことがありません。 「えっとですね。寺崎さんのサツマイモはすごく美味しいんですけど、何かこだわりとかあるのかなと思いまして、できればそれを教えていただきたいのですが…」 ​ 「あー。うーん…。こだわりとか、そういうのはないわ」 ​ 「えっ」 寺﨑さんのサツマイモは確かに美味しく、天ぷらなどにすると、天つゆも塩もいらないぐらい味が濃くて、甘みがしっかりあります。違うサツマイモでは、なかなかこうはいきません。これだけ違いがあるのに「よくわからないけれど美味しい」というレポートでは、さすがに読む人に納得してはもらえないでしょう。 どうしようかと戸惑ったのは、今度は私のほうでした。 しかしながら話を進めると、寺﨑さんが「こだわりが特にない」といった意味が、私にはなんとなくわかってきました。 「寺﨑さん。普通のスーパーに出回るものは、それほど糖度が高くならないのですが、これはなぜでしょうか」 「あー、味が乗る前に掘ってまうからでねぇんか。共選(共同で生産して出荷すること)やと、みんなに合わせてたくさん出荷せなあかんでの。うちのサツマイモは土の中にいる期間が長いんや。ほやでしっかり味がつくんやわ。そら、ちゃんとやらんと、甘くならんわ」 「土地についてはどうですか?」 ​ 「あー。このあたりは昔からサツマイモつくってるところやでの。サツマイモを作るのにいい土地なんやわ。海が近いでミネラルが豊富やし」 こんなふうに、寺﨑さんは、特長をさらっと言ってしまうわけです。 特長を特長と思わず、あくまでも、当たり前のこととして。 寺﨑さんにとって、美味しいサツマイモを育てるのに必要なことを、当たり前のこととして取り組んでいるというわけです。 特別に変わった農法など行わなくても、作物に適した土壌で、作物に適した時間と手間をちゃんとかけてやれば、作物本来のおいしさを最大限に引き出すことができる。 私は、福井なまりの言葉で話す寺﨑さんから、寺﨑さんが育てるサツマイモの特長と、寺﨑さん自身の真面目で朴訥とした性格を伺い知ることができたわけです。 八百屋テクテクで取り扱っている寺﨑さんのサツマイモは、全部で三種類あります。 金時いも、紅はるか、安納芋の三つです。

同じサツマイモなのに、何が違うの? と思われる方、いらっしゃると思います。 ざっくりいうと、紅はるかと安納芋は、焼き芋やスイーツ用です。甘すぎるので…! 紅はるかと安納芋は、オーブンや石油ストーブの上などでじっっっくり熱してやることで、大変糖度が高くなる芋です。 八百屋テクテクで扱っているサイズの芋ですと、だいたい40分ぐらいです。 芋を水で濡らした後アルミホイルに包み、オーブントースターかストーブの上に置いて待つだけ。 これで最高に甘くて美味しい焼き芋ができます。 ちなみに紅はるかと安納芋の違いですが、安納芋は正確にはサツマイモではないのです。 安納芋は安納芋という種類のイモでして、独自の味と香りがあります。 今はコンビニなどで安納芋を見かける機会が増えたので、味を知る方も多いのではないのでしょうか。 紅はるかのほうは、正真正銘のサツマイモです。 焼き芋にしたとき、サツマイモの香りが欲しい方は紅はるかを、安納芋が欲しいという方は安納芋を選ぶといいと思います。 そして金時いものほうは、天ぷらやサツマ汁など調理するほうに向いています。 ちゃんとした甘みがある上、適度にホクホクしているので食感も大変いい芋です。 私も青果業界に十年ほどおり、その間いろんなサツマイモを見てきました。 主にサツマイモの生産で有名な産地のものを扱っていましたが、そういった産地のものに比べても、寺﨑さんのサツマイモは、どの芋もより味が優れていると思います。 それに、先ほども触れましたが、サツマイモは共選なので味にバラつきがあり、未熟なものに当たる可能性があります。 その点、寺﨑さんはしっかり味を乗せてから出荷しているので、間違いなく美味しいのです。 「寺﨑さんのサツマイモは、どれが一番売れ行きがいいんですか?」 ​ 「そうやのぅ。やっぱ金時やの。料理屋さんなんかが天ぷらとかに使うんやわ。いつも買ってくれるところがあるんやけど、やっぱ、うちの金時でねぇとあかんわ、って言ってくれるんや」 ​ 「そうですか。八百屋テクテクでは、主に紅はるかと安納芋が売れます。とても評判がいいですよ」 ​ 「ふぅーん。ほぉかほぉか」 寺﨑さんは、サツマイモの美味しさを語るのに、多くの言葉を並べるお方ではありませんでした。なので、評判がいい、とお伝えした時の反応は、ほぉかほぉか、で終わり、穏やかに笑っておられました。 寺﨑さんはサツマイモだけでなく、海に近いミネラル豊富な農園でいろんな野菜、果物を作っておられます。 八百屋テクテクでは、寺﨑さんの野菜や果物を、今後も取り扱っていきたいと考えております。


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