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スピッツ「シュラフ」は、地球滅亡の話だった説~スピッツ歌詞解釈~

更新日:2023年7月22日



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「シュラフ」について語っていこうと思います。

この曲、不思議で不気味な内容になっています。どういうふうに解釈すればいいのか、よくわからない曲で、みんな戸惑ってしまうんじゃないでしょうか。



疲れ果てた 何もかも滅びて

ダークブルーの世界からこぼれた

不思議のシュラフで運ばれて


みんな嘘さ 奴らには見えない

たったひとつの思い出を抱きしめて

不思議のシュラフで運ばれて



歌詞は、これだけです。

最初に、「何もかも滅びて」います。滅びる、とは、滅亡する、という意味です。人間ひとりが死んだりとか、村や町のような小さな単位が無くなったりすることにも、滅びる、という言葉を使いますが、もっと大いに栄えていたものが無くなった時にこそ、使い方としては適切でしょう。つまり、歌詞の冒頭で多くの何かが、死んだり消滅したりしているわけです。何もかも、と強調していますから、滅びの対象は、人類、とか、世界とかでしょう。

ダークブルー色ということは、これはたぶん、空の色のことでしょう。核戦争の爆発により巻き上がれられた粉塵が地球を覆うと、太陽の光が届かない、いわゆる「核の冬」になりますが、その状態になった地球の空は、常にダークブルー色をしています。


さて、この状況において、「不思議のシュラフで運ばれる」ことは、何を意味するのでしょう?


シュラフの意味ですが、これは私は「繭」と解釈しました。虫は幼虫から成虫になる際に、繭に覆われて眠る時期があります。同じように、核戦争から逃れるために、人類はコールドスリープを使い、核の冬が過ぎ去る遠い未来へと旅立つことを示唆しているのではないのでしょうか。その、コールドスリープ装置をシュラフに見立てているのです。

いやいや、もっと抽象的な「人類はまだまだ幼虫の状態にすぎないので、核戦争という危機に際して、繭となって眠る時代を経て、ようやく成虫として完全なものへと進化するんじゃないか」だなんていう、思想的な話なのかもしれません。

ようは、このシュラフは、人類を救ってくれる存在なのだと思います。


「みんな嘘さ 奴らには見えない」が、何に対してかかっているのかが特定できなかったんですけど、これは地球を核戦争に巻き込んだ各国首脳たちに向けたメッセージなのだとしたら、これは政治的なメッセージになります。為政者たちは何もわかっていない。わかっていないから、世界が滅亡した。やらなくていいことを、やってしまった。自分たちが信じていた信念とか矜持とかは、全部嘘っぱちだ、と。

「みんな嘘さ~」が、シュラフにかかっているのだとしたら、シュラフの正体について、コールドスリープのような、実態があるものとしての可能性が薄れてきます。ここは「人類は生き残る。だって繭があるから」だなんていう宗教的な話が出てきた時に、普通の人間はそれを信じることができない、という状況でしょう。

でも、この詞の主人公は、繭があり、人類は永い眠りを経て、成体になれることを信じています。

だから、たったひとつの思い出だけを抱きしめて、繭に包まれて、眠りにつくことを決めたのでしょう。



という解釈なんですけど、どうでしょう?

救いがあるのかないのか、さっぱりわからないですけど、でも、いざ「地球が滅亡します」という状況に陥ったときに、頭の中に流れてくる音楽といえば、きっとこの「シュラフ」のようなメロディなのかもしれません。絶望の状況下で、一筋しかない光を信じて眠りにつく、みたいな。



話は変わりますが、このシュラフ、上記の解釈通りだとするなら、似たような話があります。

この詞の10年後ぐらいに発表された、∀ガンダムという作品です。

∀ガンダムに出てくるガンダムの世界観ですが、もともと高度な文明で栄えた世界が、一旦滅亡し、そこから再生しつつある世界が舞台となっています。文明を忘れて、土を耕し家畜を育て、中世ヨーロッパのような街並みを築いていた人類。そんな中、土の中から発掘されたガンダムは、その時代に生きていた人々にとっては、いわゆるオーパーツでした。一方、地球が滅亡した際に月に逃れた人類がおり、その月の民たちが地球に攻めてきた際、この発掘されたガンダムを使って、抵抗運動をする、みたいなストーリーです。

肝心なのはここからなんですけど、この作品の終盤に、実は発掘されたガンダムにこそ、人類を滅亡させた最終兵器が内臓されていたことが明らかになります。そして、月の民との最終決戦で、お互いに人類を滅亡させた兵器の撃ち合いになります。ギリギリのところで相打ちとなり、ガンダムたちは自己再生機能のある繭に包まれて、活動を停止させ、再び永い眠りにつくことになる、という結末になっています。



自らを滅ぼす兵器を撃ち合い、そして傷ついた身体を繭に包んで、永い眠りにつく。

このガンダムの話、スピッツの「シュラフ」の世界観にとても良く似ているので、もしかしたら参考にしたんじゃないかなと、そんな妄想をしちゃいますね。




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