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スピッツ「アカネ」は、「ホタル」の後日談説。



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「アカネ」について解釈していこうと思います。

スピッツ「ホタル」の項目で解釈したんですけど、「ホタル」はめっちゃ絶望の曲なんです。何もかもが闇の世界で、悲しいほどささやかな光だけが灯っている状態。しかもそれが幻だという、とんでもない真っ暗な闇の世界を表現した曲なのです。

ホタルにて、大切な人を失い「もうこの世には絶望しかない、紙のような翼で、どこか遠いところにいってしまいたい…」と嘆いていた「僕」でしたが、その後どうにかこうにか悲しみを乗り越えて、前に進もうとしているようです。それが、「アカネ」の場面なんじゃないのかなと。

「ホタル」の内容を重ね合わせることで、「アカネ」の内容が浮き彫りになる感じがしたので、それを踏まえて、ちょっと順番に詞を眺めていきたいと思います。




悲しい日には 新しい歌 ひとつ

遠く 歩き出そうか

「ホタル」では、「紙のような翼」つまり、あるはずもない背中の羽でどこか遠いところまで行こうとしていました。つまり死のうとしていました。でも、「アカネ」では、同じく遠くにいこうとしているのでも、地面にしっかり足をつけて、歩き出そうとしています。遠くにいく、という表現は同じでも、内容はまったく真逆だというわけです。こう考えると、面白いですね。

また「ホタル」では、「懐かしい歌にも似た甘い言葉耳に溶かして僕のすべてを汚してほしい」と、古い絶望の歌で、僕の生命を君の死の色塗りつぶして欲しいと言っていますが、ここではその対比になるような「新しい歌」を求めています。悲しみを、新しい希望の歌で、乗り越えようとしているのです。



晴れの予報も ハズれたけど

朱くかすむ 夕陽を待とうか

「晴れの予報も ハズれたけど」は、自分にとって都合の悪いことが起きたという暗喩になっています。

でも、そのあとが大事です。「朱くかすむ 夕陽を待とうか」ということを、もっとも言いたかったのだと思います。ホタルでは「悲しいほどささやかな光」が僕の心の中のすべてでした。でも今は、でかい太陽を待つという心境になっています。でかい太陽が朱くかすんで、この地上のすべてをアカネ色に染め上げてくれるのを待つ、という心境になっています。



ゴミに見えても 捨てられずに

あふれる涙を ふきながら

「ホタル」の項目でもしっかり述べていますが、マサムネさんは「死の美しさ」を表現するために「生の醜さ」を描くことがあります。「ホタル」でも「終わりなき欲望埋める」とか「生まれて死ぬまでノルマ」とかがそれに該当します。そんな無意味で汚い生に執着するぐらいなら、いっそ彼女のあとを追って死んでしまったほうが美しい、という、そんな感じで使われています。

「アカネ」でもまた、生が醜いことを「ゴミに見えても」と言っています。生きることを決めたけれど、生の醜さまで否定できないようです。でも醜く生きることもまた、生きるということなのです。僕は、彼女の後追い自殺という美しさのほうを捨てて、醜く生きることを選びました。「あふれる涙を ふきながら」、生きていこうと思っています。



悲しい日には 嘘つき歌 ひとつ

遠く 歩き出そうか

ここにもまた、「死の美しさ」と「生の醜さ」という思想が出ている部分なのかなと。美しい死こそが本来目指すべき本物であり、醜い生は、偽物なのです

でも、「嘘つき歌」のほうをあえて選んでいます。「醜い生」もまたいいものだ、と思えるような心境になりつつあるのです。



身体のどこかで 彼女を想う

また会おうと言った 道の上

ここです。「身体のどこか」とは、どこでしょう? 少なくとも心の中心では、もうなくなっています。「ホタル」では、まさしく心の中心に彼女がいました。現実世界も真っ暗、心の中も真っ暗という状態の中、心の中心に彼女の幻が、悲しいほどささやかな光になって留まっていました。

でも今は、「身体のどこか」という、彼女がどこにいるのかもよくわからない状況になっています。それぐらい、自分の中にあった闇が消え去って、いろんなものが見えてくるまで、心の状態が回復したようです。

「また会おうと言った 道の上」は、僕の方が、消えゆく彼女の幻にむけて言ったのだと思います。彼女の道は途絶えてしまったけれど、僕の道はまだまだ続くのです。嘘にまみれた、醜い生が続くのです。だけどその生を全うするつもりでいます。なので彼女に対しては「すぐ会おう」とか「会いに行くよ」ではなく、「また会おう」なのです。死後の世界で再開できるその日まで、生を頑張るつもりでいるのです。





という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?

「ホタル」も「アカネ」もカタカナ3文字ですが、漢字に直すと蛍、茜で一文字です。よく似ていると思いませんか? まるで、「この関連性に少しでも気づいてほしくて、仕掛けてみましたわ」とでも言わんばかりです。

私が気づいていないだけで、もっと他にもいろいろこういうギミックが隠されているのかもしれません。どの曲とどの曲が関連あります、とか。そういうのを探ってみるのもまた、楽しいですね。



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