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スピッツ「あじさい通り」は、死別の曲だった説。



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「あじさい通り」について解釈していきたいと思います。

この曲は、後からいろいろ加えることで、それっぽい解釈ができるような曲になっています。なぜなら、心境のみ語られているからです。肝心の、いったい何があったのかについての記載がありません。これがニュース記事だとするなら、インタビューした人の感想ばかりが取り上げられて、肝心の事件の内容が語られていないというものになります。だから何があったのだ、とモヤモヤしちゃうことでしょう。まあそのモヤモヤをあえて余韻として残したり、あるいは好きなように解釈したりできるのが、スピッツの詞の良いところでもあります。


この八百屋さん的には、付け足しで、病気の女の子と、それを見舞う男の子という設定を加えたいと思います。

これを加えることで、すっきり解釈できると思うのです。

詞を順番に眺めていきましょう。




雨降り続くよあじさい通りを

カサささずに上向いて走ってく

全部ごちゃ混ぜにする水しぶき

雨が降り続いているのは、なにもあじさい通りだけでないことは、伝わってくると思います。

主人公の男の子の心もまた、湿っぽい雨が降り続いています。

このあじさい通りは、まるで彼の心そのものだと言いたいようです。



いつも笑われてるさえない毎日

でもあの娘だけは光の粒を

ちょっとわけてくれた明日の窓で

彼には夢がありました。ギターなのか、絵画なのかはわかりませんが、夢と呼べるものを持っていたようです。でもそれは周りの人から言わせれば、まだまだ未熟で、夢なんかとうてい叶いそうにないレベルだったようです。「いつも笑われてるさえない毎日」だったそうです。

でも、あの娘だけは、彼の夢を応援してくれてそうな感じがしています。「ちょっとわけてくれた」ぐらいなので、「アナタは才能の塊ですね」という感じではないみたいです。他の人みたいにハッキリ言わないけど、彼女もまた彼の才能には疑問を持っています。でも優しいので「いいんじゃない」ぐらいには言ってくれたみたいです。

彼女の「いいんじゃない」に、彼は少ない希望を抱いているのです。「彼女がいいっていってくれるから…」と、自分の才能のなさを、彼女が肯定してくれたことを理由にして、必死に慰めているのです。



だから この雨あがれ あの娘の頬を照らせ ほら

涙の数など忘れて

変わらぬ時の流れ はみ出すために切り裂いて

今を手に入れる

「涙の数など忘れて」は、彼の涙です。才能がないことをバカにされて、泣いたことが数多くあったのでしょう。

でも今は、「あの娘の頬を照らせ」と思っています。これは、自分の才能をあまり信じていない様子のあの娘に、「わぁ、本当は才能、あったんですね」と言わせたいと願っている部分だと思います。

そのために、すごくギターを練習して、上手くなって、彼女の前で披露したのだと思います。「だから この雨あがれ」つまり、自分がヘタクソなせいで先がみえないような状況を、なんとか変えたいと願っています。

自分はこのままいけば、「変わらぬ時の流れ」つまり、何も結果が残せない、ただギターが好きな人というだけで終わってしまいます。そういう状況を「はみ出すために切り裂いて」つまり、夢を叶えるために、目の前にある実力の壁をぶち破って、「今を手に入れる」つまり、目の前にいるあの娘の、「わぁ、すごくギター上手なんですね。あなたなら、プロになれると思います」という感想を手に入れたいと願っています。



愛と言うより ずっとまじめなジョークで

もっと 軽々と渡って行けたなら

嘘 重ねた記憶を巻き戻す

一方で、女の子の病気は深刻になっています。この詞の背景が梅雨の長雨になっているとおり、身体の具合が芳しくないのです。

「アナタは、どうして私に、ギターを聴かせてくれるの?」と、ある時彼女が、彼に問いかけました。

プロになりたいというのは、実は嘘です。本当はなれるだけの実力がないことは、自分でもわかっています。ただ、彼女が褒めてくれたことを言い訳にして、自分の夢にすがっているだけなのです。

「それは、誰かに聴いてもらいたいからだよ。聴いてもらうことで、実力が上がるからさ」

「じゃあ、私じゃなくてもいいってこと?」

「うん……まあ、そういうことになるけどさ……」

と、彼はまたひとつ、嘘を重ねます。

彼は彼女に、恋をしています。でも自分に都合のいいゴタクを並べて、自分の気持ちと向き合おうとしませんでした。彼女と向き合おうとしませんでした

彼は心の中で思います。「ずっとまじめなジョークで もっと 軽々と渡って行けたなら」つまり、「君が好きなんだ」と軽々と言えたならと。彼女もまた、「そう、ありがとう」と、ジョークとして軽々と受け流してくれたなら。そういうキャラだったら、よかったのに、と。

そうすれば、彼女に好きなだけ、自分の気持ちが言えるのに、と。

このあたりは、彼の、自信のなさの表れになっています。



だって 信じることは間抜けなゲームと

何度言い聞かせたか迷いの中で

ただ 重い扉押し続けてた

自信がないから、「だって 信じることは間抜けなゲームと 何度言い聞かせたか」と、ゴチャゴチャと言い訳を並べて、彼女に対する気持ちと向き合うことをしないのです。だってだってチャンに、なってしまっています。

彼にギターの才能があれば、何もかもうまくいったのです。自信たっぷりに「君が好きだ。君にギターを聴いてもらいたくて、ここにいるんだ」と、堂々と言えば、それでいいのですから。でも才能がないうえに、プライドだけは高いので、素直になれずにいます。

「迷いの中で ただ 重い扉押し続けてた」と、自縄自縛に陥ってしまているのです。



だから この雨あがれあの娘の頬を照らせ ほら

寄せ集めた花 抱えて

名も無い街で一人 初めて夢を探すのさ

今を手に入れる

彼女の病気の進行は、彼に自信がつくまで待ってはくれませんでした。

彼は「寄せ集めた花 抱えて」彼女のもとを訪れています。彼女は、亡くなってしまいました。彼女の墓前に供えるための、花なのです。

ずっと長雨で病魔に苦しんでいた彼女のために、「この雨あがれ」と彼は祈っています。終始、自分のことだけで頭がいっぱいだった彼でしたが、もしかしたらこの祈りが、本当に彼女のために願った最後の願いだったのかもしれません。

彼女がいなくなった街で、初めて彼は、本気で自分の夢と向き合おうとしました

今度こそ本当に自分と向き合って「今を手に入れる」ために歩いていくのです。




という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?

いちばん最初にも述べましたけれども、肝心の、何があったか、が描かれていない詞のため、解釈の余地がすごくある詞となっています。

なので、何も当てはめずに感じたまま感じるのもいいですし、何かを当てはめて詞の意味を再構成してみるのも、スピッツの詞の楽しみ方だと思います。

個人的には、何かを当てはめてみたほうが、より詞の世界が楽しめると思うのでおすすめです。その場合、個人的な内容のほうが当てはめやすく、心が動かされやすいと思いますので、ぜひともアナタ個人の出来事を代入して、心の曲のひとつにしてみてはいかがでしょう。





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