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スピッツ「スワン」は、スワンボートのことだった説。



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「スワン」について解釈していきたいと思います。

この詞は、何を歌った詞なのでしょう? どうも、「大切な人を亡くしてしまったことを嘆いている」ことが伺えます。

その細部まではよくわからないのですが、この曲が東日本大震災の後に作られていることを補助線として加えると、言いたいことがなんとなく見えてきそうです。

ちょっと心もとないですけど、そういう方針で、解読してみましょう。




星空を 見るたびに思い出す

さよならも 言えないままだった

少し苦く 少し甘く もらった言葉消さないもう二度と

まず、タイトルの「スワン」ですけど、これはいったい何を示しているのでしょう?

直訳すると、白鳥、ということになりますが、詞の一番最初は「星空」を観察できる夜、つまり闇夜から始まっています。星空を眺めることができるぐらいの暗い夜には、逆に白鳥を観察することができません。加えて、震災がテーマにある曲だということを想定すると、このスワンは、白鳥のことではなく、スワンボートのことを指しているんじゃないかなと。津波で被災した人を捜索するために、スワンボートで、海へいこうと妄想して、この詞ができたんじゃないかなと、私は想像しました。いや実際には、スワンボートを運行できるのは、波の来ない湖で、しかも狭い範囲に限られます。なので、海を航行することはできません。

現実にはできないんですけど、「このボートで、彼女を探しにいけたら……」という、どうにもならない気持ちを表現した曲なんじゃないかなと。

もらった言葉が「少し苦く 少し甘く」なのは、それが現実には二度と聞けない言葉であり、思い出の中にしかない言葉だからでしょう。



あまのじゃく バレバレの遠まわり

優しい人 はずかしくなるほどに

君は光 あの日のまま ずっと同じ消えないもう二度と

この部分は、愛しい彼女との、スワンボートの思い出というふうに眺めてみたいと思います。スワンボートって、初心者には扱いが難しく、近寄るつもりが遠ざかったしまったりします。マサムネさんがスワンボートに乗っていて、桟橋の上に彼女がいる。彼女を乗せようと近づこうとしたけれど、逆に遠ざかってしまった。

「ちょっとぉ! 私も乗せてよ~」

「違うって、操作が難しいんだよ! 遠まわりしちゃうんだよ」

「嘘! この間は、ちゃんとできたじゃん。もー! また私に意地悪して~!」

みたいなやり取りがあったんじゃないかなと。この時の彼女は、口ではそういいつつも、優しく笑っていたのでしょう。彼女の笑顔はお日様のように、眩しかったに違いありません。



森が深すぎて 時々不安になる

指で穴あけたら そこにはまだ世界があるかな?

助けが欲しいような 怖い夢のあとで

呼吸整えて 記憶をたどった君の笑顔まで

「森」と「林」の違いを知っていますか?

「森」とは、ひとの手が加わっていない、神様が住むとされる神聖な場所のことを指します。一方で「林」とは、人の手が入った人工林のことを指します。

ここで「森」としたのは、たぶん、死後の彼女がいる場所を指しているんじゃないかなと。

マサムネさんは、指で空間に穴をあけて、死者が住む、深い森の中に入っていこうとしています。彼女に会おうとして。

でも、それが夢であることに気が付きます。死者が住む世界に足を踏み入れたら、もう現実には戻ってこれなくなります。夢から覚めた時に、その怖さに気が付いて、呼吸が乱れてしまいました。

死後の世界にいる彼女と、死後の世界に行けなかった自分。彼女に会いたいと懇願していたのに、いざ会いにいこうとしたら怖くなって、死の世界に行くことを拒絶してしまい、彼女を拒絶してしまった自分。いったい、彼女はそんな自分のことを、どう思うだろう。そう考えると、怖くなります。

でも、いったん呼吸を整えます。曲の2番の詞で彼女に、スワンボートを乗せない意地悪をしたけれど、優しい彼女なら、その時のような反応をしてくれるんじゃないか。と期待します。「どうして、こっちの世界に来てくれないの?」と一時はむっとするかもしれませんけれども、でもそのすぐ後には、またあの眩しい笑顔で、微笑んでくれるんじゃないか……。そんな妄想で、この曲は終わります。




という感じで、解釈してみましたが、いかがでしょうか?

この詞で語られているテーマは、いったい何でしょう? 愛でしょうか、それとも不安でしょうか? 助けてあげられなかった罪悪感、かもしれません。

歌詞を追い、テーマを深堀りしていくこともまた、スピッツの歌詞解釈の醍醐味だと思います。





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