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スピッツ「みそか」は、文字通り大晦日の歌だった?~スピッツ歌詞解釈~

  • 2021年12月31日
  • 読了時間: 7分

更新日:4 日前



みなさんこんにちは。八百屋テクテクです。

実は、これを書いている日時は、2021年の12月31日。大晦日の夜です。

テレビでは紅白歌合戦がはじまり、別の番組では格闘技がはじまりました。なお毎年恒例だったダウンガウンの「笑ってはいけない」は今年からなくなりました。ので、観る番組もなくて、しょうがないのでブログ書いています


今回は、大みそかだということで「みそか」を分析していきたいと思います。

いやぁ、みそか、って、ずっと何も考えずに今まで聴いてました。「味噌か?」みたいな、なんか美味しそうな味噌味の食べ物のことを歌っている曲なのかなと。

正直、意味なんてどうでもよくなるぐらい、いい曲なんですよね。曲が素晴らしいので、味噌でも醤油でも、どっちでもよかったんです。

でも、どうせ聞くなら、ちゃんと歌詞に込められた意味を調べた方が、より楽しめるんじゃないかなと思いまして。

大晦日といういい機会なので、「みそか」をちゃんと調べてみたいなと。


「みそか」は、大晦日に関係する言葉なんじゃないかなと。

もともと「みそか」は、三十日とも変換できるように、暦の一番最後らへんの日を表す言葉でした。それが転じて、「晦日(かいじつ)」という、暦の最後の日を表す言葉にも、みそか、という読み仮名がつくようになったとされています。

そして、大晦日は、おおみそか、と読みます。暦の上では、一番最後の日という意味ですね。


暦というのは、ただの日付というふうに現代人は考えているかもしれませんが、昔の人は呪術的な意味を見出していました。たとえば、私たちが普段使っているのは西暦のほかに、和暦があります。天皇陛下が即位したりすると年号が変わりますが、これは年号を変えることで古い時代の終わりを示し、古い時代の病魔や厄災を切り離す役割がありました。さらに曜日として割り当てられている、月火水木金土日は、古代バビロニアにおいて聖なる星とされ、日付が変わるたびに順番に地上を支配していたとされています。先の和暦においては、仏滅や大安など、日によって吉凶が存在したりしています。

このように、神族の子孫である天皇陛下の交代や、天体の動きによって、人間の吉凶が左右されていた時代があったのです。暦の影響力というのは、とても大きかったというわけです。


そんな、暦の影響力が強かった時代において、みそかは、どんな役割があったのでしょう?

みそかは、月の暦が変わる一番最後の日、つまり、一つの季節が切り替わる寸前の日です。大晦日ともなれば、ひとつの時代が切り替わるぐらいの、大きな動きをする日です。正月というのは、昨年無事に乗り切れたことを祝う日なのです。昔の人は誕生日ではなく、元日を迎えたことで歳をとっていました。満いくつ、という歳の数え方をするのは、このためです。去年を無事生きのびて、元日を迎えられたことをお祝いするのが、正月なのです。


こう考えると、スピッツの「みそか」というタイトルもまた、「ひとつの時代の終わり」と言い換えてもいいかもしれません。

ひとつの時代を終わらせ、次の時代を作ってやる。そんな場面の曲なのです。



輝け不思議なプライド胸に

凍てつく無情な風の中で

スピッツはデビューしてから、「ロビンソン」でブレイクするまで、長い不遇の時代がありました。

そんな、不遇を経験した彼らの、ひとつの時代を切り開いてやろうとする気概を、この詞は描いています。

「不思議なプライド」とは、彼らのロック魂のことでしょう。たぶん他の人からは「スピッツって、そんなにロックなの?」と不思議に見えるはずです。昔、音楽雑誌において、「ミスチルが正統派の優等生だとするなら、スピッツは引きこもりの不登校少年だ」と記者に評されたことがあります。たぶんスピッツ本人たちも、他人にはそう見えているという自覚があるのだと思います。

でも、スピッツがロックにプライドを持っていることを、私たちファンは知っています。

そのプライドを、淀みきった旧時代の凍てつく無情な風の中で、新時代に向けて輝かせてやる、と言っているわけです。



周りに合わせない方が良い感じ

誰かが探しに来る前に

合わせないほうがいい感じ、という部分に、彼らのバランス感覚があります。合わせるかどうかは一応迷うけれど、でも時代作りたいから、合わせないようにしたいね。ぐらいの方針でしょうか。

「誰かが探しに来る前に」の部分は、次の項目に繋がっています。



君をさらっていこうかな 例え許されないことでも

このさらう、は、人を連れ去るという意味の「攫う」ではなく、かき集めてすくうという意味の「浚う」という字を当てたいと思います。他にうまい言い方がないのでアレなんですけど、どぶさらい、で使われている、さらうです。

つまり、「君」をスピッツのファンにしようとしているわけです。

でも君というのは、旧時代の人、つまり、スピッツが売れることを信じていない人です。いやそもそも、スピッツのメンバー以外の誰もが、旧時代に生きている人なのです。自分たち以外、成功を信じている人がいないという状況なのです。

でもマサムネさんは、無理やり「君」を、ファンにさせて、強引に新時代に連れて行こうとしています。計算もなにもなく、ただ感情にまかせて「君も一緒に新時代に行こうぜ!」と言っています。大きな熱量を感じます。



越えて越えて越えて行く 命が駆け出す

悩んで悩んではじまるよ 必ずここから

暦における正月には、命のはじまりという側面があります。みそかを越えれば、命が始まるのです。暗く冷たいみそかを越えて、光あふれる新時代に突入したならば、その命は強く輝くことでしょう。

「悩んで悩んではじまるよ」は、新時代に突入することの怖さや辛さと、それを克服する強さを表しています。

そう。この詞を書いているマサムネさんの立ち位置は、まだスピッツが売れていない頃のものなのです。暗い時代にありながらも、そこを「みそか」だと信じて、次の朝日を目指して、一歩を踏み出している。

これが、この曲のタイトルが「元日」ではなく「みそか」である理由なのです。



約束ひとつを抱きしめて

テレパシー野ざらしあきらめず

この「約束」はたぶん自分自身に対する約束事だと思います。「新時代を作ってやる」という大志を抱いているのだと思います。

テレパシーは、この「新時代を作ってやる」と意気込んで世間に訴えたけれども、その思いが伝わらなくて「野ざらし」のように、受け入れてもらえない時間が長かったことを表しています。でも、「あきらめず」



尖った山の向こうから朝日が昇ればすぐに

尖った山とは、日本一高い富士山のことかなと。その高い山に覆い隠されていた朝日が昇ってきます。



混ざって混ざってでかすぎる世界を塗りつぶせ

浮いて浮いて浮きまくる覚悟はできるか

山の上から日の出を眺めたことのある人なら、この感覚がわかると思います。

日の出前の世界というのは、暗い世界です。でも、山の向こう側から太陽がでた瞬間、かあっ、と太陽光線が世界を覆い、暗い世界を光で塗りつぶしてしまうのです。

でかすぎる世界を、太陽光線で塗りつぶす。新時代の幕開けとは、こういう景色なのかもしれませんね。

新時代を作ろうと覚悟したならば、誰かと違うことをして、浮きまくる。その覚悟はできるかい? という部分で、この詞は終わっています。




新時代を作ってきた、スピッツ。

「チェリー」や「空も飛べるはず」もスゴイんですけど、彼らの曲は、美しく完成されすぎてていました。私にとってマサムネさんは、出会った時から天才で、詞を書けば必ず人の心を掴むものができる、バケモノのように思っていたのです。人の心が透視できる、人の心のないサトリという妖怪がいますが、マサムネさんは、そういう存在だと思っていたのです。これはなにも私だけではなく、多くのスピッツファンが感じていることでしょう。

でも、マサムネさんも人間なのです。悩みますし、浮くことを恐れます。

ましてや、売れない時代なんて、目の前が暗黒だったことでしょう。凍てつく無情な風の前で、自分の作品たちが蹂躙されていく様を、幾度となく見てきたわけです。心が折れないはずがありません。

それでも、割れない岩を叩き続けてこれたのは、自分たちは新時代を作れると信じてきたからです。

悩んだり、恐れたりしながらも、それでも歩き続けてきた。「みそか」は、私たちに、暗い時代の歩き方を教えてくれるようです。

この暗い時代を表す「みそか」に、こんなに光あふれる情熱を携えていたことを、この曲は教えてくれます。



みそかは、すごいですね!




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