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スピッツ「胸に咲いた黄色い花」は、電話説。




こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「胸に咲いた黄色い花」について解釈していきたいと思います。

この曲の解釈としては、「僕は落ち込んでいたけれど、君がいたから元気になった」というふうになると思います。たぶんほとんどの人が、そう解釈しているんじゃないかなと思います。スピッツの他の曲と比べると、けっこう楽に解釈できる曲だと思います。

しかしながら、この八百屋さん、もう少し細かい背景があるんじゃないかと睨んでいます。というのも、マサムネさんが手掛ける曲にしては、楽すぎるのです。いつもは「リンゴの品種、100個答えよ」みたいなクイズを出すのに、この曲に関しては「リンゴの色といえば何色でしょう?」みたいな易しすぎる問題なのです。難しい詞を見続けてきた私にとっては、逆に何か裏設定があるんじゃないか、と勘繰ってしまいます。素直に「赤!」と即答できずにいます。「青リンゴとか、あるやんけ」とつい余計な思考に走ってしまいます。

なので、余計なことかもしれませんけれど、この詞の裏設定、考えてみました。

それが、ブログタイトルにもあるように、電話説です。何言ってるか、全然わからないでしょう。

大丈夫です。順番にご説明いたしますので、どうぞお付き合いくださいませ。




月の光 差し込む部屋

きのうまでの砂漠の一人遊び

胸に咲いた黄色い花 君の心宿した花

僕が今、どういう状況にいるのかというと、「月の光 差し込む部屋」にいるのです。つまり、真っ暗な部屋にいるんですよね。電気とか全部消しているので、弱い月明かりだけが、ほわーんと差し込んできている状況です。

かつ「きのうまでの砂漠の一人遊び」とのことです。これは、昨日までは元気がなかった、ということだと思います。砂漠のようにカラカラに乾いた心、すさんだ心になっているということです。すさみきった大地で、「ひとり遊び」つまり、ひとり空回りしていた、ということだと思います。

でも今日になって「胸に咲いた黄色い花」となっています。これは今日になって、何かいいことがあったんですね。そしてそれは、君が関係しています。

ここまでは、簡単に解釈できます。

じゃあ僕と君は、いったいこの暗い部屋で、明かりもつけず、何をしていたのでしょう?

そうですね。この状況で、僕と君がやっていることといえば、電話通信です。電話なら、声さえあればいいので、明かりがいらないんですよね。そりゃあ仕事ならメモとか必要でしょうけれども、相手が友達とか恋人とかだったら、気楽にお話ができます。むしろ電気を消して電話をすることでムードが出ますし、彼女の声に集中することもできます。

ところで、この時代の電話といえば、黒電話か、押しボタン式電話機です。黒電話は、本体にダイヤルが付いていて、電話番号を順番にジーコジーコと回すことで電話をかけることができます。警察への番号が110番なのは、黒電話のダイヤルにおいて、1と0がすぐに回る位置にあるからです。押しボタン式電話機は、今でもよくみる家庭用の電話機のことです。ピッポッパで電話をかけることができます。

これらの電話機ですが、よくよくみると、花に見えてきませんか?

黒電話は、ダイヤルの部分が花びらに見えます。黒電話というと文字通り黒が一般的でしたけれども、本体の色は赤とか緑とか黄色とか、いろんな色がありました。自分でデコレーションしたりする家庭もありました。

また押しボタン式の電話機は、通話中ボタンが光るものがありました。暗闇の中で、0~9の規則正しくならんだボタンが光るのです。まるで花のように見えませんか?


  

  

  

  


こんな感じです。ボタンを黄色く光らせてみたら、それっぽくなりました。ゼロの左右には*と#ですが、これは数字ボタンとは違うカラーリングがされているものもありましたので、緑色にしてみました。

愛しい彼女の声は、この花が伝えてきてくれているのです。まさに「君の心宿した花」ではありませんか。

この視覚的な情報が、僕の心の中の「胸に咲いた黄色い花」とリンクしている。そんな状況なのだと思います。



このまま僕のそばにいてずっと

もう消えないでね

乾いて枯れかかった僕の胸に

「もう消えないでね」を言葉通りに受け止めると、一度消えたことがある、ということになりますが、そうなると不穏な感じがしてしまいます。別れ話にでもなったのか、的な。

でも「もう消えないでね」が、電話を切らないで、という意味だとしたら、ただ電話を切りたくないという、平和な我儘になります。「もうちょっとお話しようよぉ~このまま僕のそばにいてくれよぉ~。だめ、今日はぜったい切っちゃだめ」みたいな。相手の女性は「いい加減にしてよ。明日は早いんだけど?」と迷惑に思ったかもしれませんが、それでも僕に付き合ってはくれています。今日の通話が終わっても、明日またかけてきてくれる関係なのです。「乾いて枯れかかった僕の胸に」は、彼女の声を運んできてくれる花が、生き生きと咲いているのです。



鉄の扉こじ開けたら

僕を変える何かがあると聞いた

君と笑う みんな捨てて

街の音にもまれながら

「鉄の扉こじ開けたら 僕を変える何かがあると聞いた」は、社会の理不尽さに耐えながら、歯を食いしばって頑張ることだと思います。いい学校に入って、いい大学に入って、いい会社に入る。そうすればいい人生が送れると、みんなが言っているのを聞きました。学校の先生もテレビも、そう言っています。でもその段階の度に鉄の扉がそびえています。どこか一つでも鉄の扉を開くことができなかったら、その時点で社会の負け組になるのです。

そう僕が言うと「ばかばかしい」と彼女は電話口で笑いました。「そうやって他人を蹴落としていって、残ったごく一部の人だけが良い思いをする社会は、多くの人がダメだと思っている。多くの人にダメだと思われている社会体制は、いずれ破綻する。アナタは、破綻するのが決まっている建物に上りたいのですか」

彼女はそんなふうに、僕の思い違いを指摘したのだと思います。

僕は、彼女の言うことはもっともだ、と思いました。なので、そういう思い違いを「みんな捨て」るようにしたのです。肩ひじ張らずに、生きて行こうとしたのです。

「街の音にもまれながら」もまた、電話している様子の表れじゃないかなと思います。お互いの声だけでやりとりしているので、街の音が邪魔になります。この時代の、若い人が賃貸するような建物だったら、防音もあまり考えられていなかったでしょう。ダンプカーとかが近場を通った時、彼女の声が一瞬かき消されてしまうのです。



弱く輝いてる 宵の蛍のように

どこへ流されていく 黄色い花

ここもまた、電話のプッシュボタンが闇の中で光っている部分なのかなと。というよりここが、「もしかしたら、この詞は電話している様子を歌った曲なんじゃないかな」と思わせる部分です。まるで電話のボタンが「宵の蛍のように」光っていることで、彼女と繋がることができています。彼女と繋がっている間だけ、僕の心の中にも、黄色い花が咲いているのです。

通話が終わって電話が切れたことで、ボタンの光がふっと消えました。同時に、僕の心の中の黄色い花も見えなくなりました。「ああ、どこへ流されていったんだ~」と、僕は電話を名残惜しそうにしているのです。



時の淀み 行く手を知り

明日になればこの幻も終わる

胸に咲いた黄色い花 君の心宿した花

「淀み」とは、池の水などが溜まっていることを意味します。つまり「時の淀み」とは、時が止まっていることを表しているのかなと。僕は「鉄の扉」をこじ開けられず、扉の前で右往左往している状態がずっと続いていましたが、君のアドバイスにより、行くべき方角が定まりました。僕の時間が動き出したのです。

「明日になればこの幻も終わる」もまた不穏な内容ですが、これもまた今日の12時前までには電話を切るという表現だったとしたら、不穏ではなくなります。明日の夜には「もしもーし」とまた幻が始まるからです。彼女と僕が生きている限りは、暗闇の中で、花のような配置のボタンが蛍のように光り、僕の中に黄色い花が咲き続けるのです。



という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか。

この頃のマサムネさんの詞は、目の前の風景と、心理描写がリンクしているような表現があります。「プール」や、「鈴虫を飼う」などに見られます。

人間はそれだけ、視覚的な影響を受けやすいのだと思います。それを効果的に詞の中に使う表現技法は、すごいと思います。




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