スピッツ「惑星のかけら」はネトゲ廃人の曲だった説~スピッツ歌詞解釈~

更新日:2月12日



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、あの超難解な歌詞で知られる「惑星のかけら」の解釈にチャレンジしていきたいと思います。

ある程度のスピッツファンならすでにご存じかと思いますが、「惑星のかけら」は2ndアルバムのタイトルでもあり、1曲目に収録されている曲でもあります。アルバム「惑星のかけら」に収録されている曲たちは、どれも一癖も二癖もあって、かなり存在感のあるアルバムとなっています。そんなアルバムを象徴するかのような、歌詞の難解さ。アルバムを聴く人たちの心をいきなり持っていく、十分なインパクトがある曲だと言えるでしょう。

最初に聴いてから今まで、意味がわからない曲ということでずーっと放置してきました。ませている子なんかは、「エロい曲なんだわ」なんて解釈して、キャーキャー言ってたりします。その、どこをどう解釈したら、エロい曲になるのかはよくわかっていなかったけれど、「そうか、スピッツファンがエロい曲だというのなら、エロい曲なんだろうな」と、なんとなくそう思ってもみました。


しかしながら、マサムネさんの曲には、テーマが必ず存在します。

最初から最後まで矛盾なく一貫している、骨子となっているテーマが。

そしてそれを解き明かしていくことが、楽しみになっています。

例え間違っていたとしても、それはそれで、笑ってもらえたらと思います


この曲を解き明かす上でのヒントとして、マサムネさんが「なにかのSFを参考にした」という情報を入手しております。

なるほど。現実ではなく、作られた物語の中に自分を投影しているということなのかもしれません。

昔の人は、小説や古典、時代小説などでそれらを楽しんでいましたが、現代の若者チックな話にすると「オンラインゲームの中で冒険している話」というふうに変換できるかもしれません。

オンラインゲーム上で、自分自身のアバターを作って、無限に広がるフィールド上を冒険する……そんなふうに捉えてみると、この詞は解釈しやすそうです。



知らないふりをしていたんだ 君の夢を覗いたのさ

二つめの枕でクジラの背中にワープだ!

「君の夢」っていうのは、君のやっているオンラインゲームのことだと、ここでは定義しちゃいます。君はもともとゲームオタク……それも重度の、ネトゲ廃人と呼べるレベルで、コソコソと部屋でひとりゲームを楽しんでいました。「君」のことが好きな主人公は、君と仲良くなるために、君がハマってるそのゲームをこっそり覗いて調べて、プレイしはじめました。そしてゲームの中で、君に出会います。「僕も最近はじめたんだけどさ。よかったら一緒にやらない?」みたいな、自然を装って彼女に接近した、というふうに解釈できます。

「二つめの枕」というのは、ゲームをするときに使う枕のことです。近未来では、ゲームはパソコンではなく、枕でするようになるそうです。枕がプレイヤーを睡眠状態にさせ、脳波をキャッチして、ゲームにログインする。

そうやってログインした先が、ゲームの世界にあるクジラの背中だったわけです。最後のビックリマークに、その時の感動が現れています。ただクジラの背中にワープしたのではなく、世界を飛び越えてきたんですから、そりゃあビックリしちゃいますよね。



ベチャベチャのケーキの海で 平和な午後の悪ふざけ

はかなげな笑顔で つま先から溶けそうだよ

このあたりは、本当にそういう場面なんだと思います。現実の世界ではありえない光景ですが、ゲームの中なら話は別です。

ログインした先で君と出会った主人公は、君と一緒に冒険に出ます。ベチャベチャのケーキの海で遊ぶ、二人。現実では見せてくれない君の楽しそうな様子。そんな儚さが伝わってきて、主人公は好きな気持ちが溢れて、溶けそうになっています。



骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら

骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

オンラインゲームの中には、カップリングという機能があったりします。交際申請をして許可をすれば、ゲーム上のキャラクター同士が「交際中」という関係になり、そばにいるだけで能力があがるという機能です。ラブラブパワーで敵を倒しやすくなるというわけですね。

「君」と「主人公」は、ゲームの中でカップル同士になれたのでしょう。でもそれは、ゲーム上でお互いが操作しているキャラクター同士の話であって、現実の二人の関係ではありません。

ゲームの中で自分自身と呼べるのは、ゲームのアバターの骨格というか、芯というか、そういうものになります。

だから主人公は願っているわけです。「骨の髄まで愛してよ」と。

ここででてくる「惑星のかけら」は、「骨の髄」との対比となっています。惑星が現実の地球なのだとしたら、かけらは、ゲームの世界のことです。仮想空間であるはずの世界だけど、それも現実の世界の一部であることには間違いはない。同じように、ゲームのキャラクターだって、その骨の髄は本物の人間だ、と言いたのかなと。

「僕に傷ついてよ」は、ゲームに溺れてしまっている君に、「そろそろ現実で会わない?」みたいな提案をしているところなんだと思います。でも君は、主人公のキャラクターをまるでゲームの住民にすぎないような扱いをしています。「えー? ゲームのほうがいいじゃん。楽しいじゃん。まだまだ君は弱いから、私が鍛えてあげるよ。レベル上げにいこうよ」みたいな。だから主人公は「現実でも、このゲームでの世界のように、一喜一憂する君がみたい。現実で一緒に、笑ったり、泣いたりしてほしい」と思っています。



君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い

オーロラのダンスで素敵に寒いひとときを

ここも、ゲームの世界の出来事です。ゲーム熟練者である君が装備していた、防御力が高いスカートを、主人公のキャラクターが盗んで装備しました。ここはエロい意味ではなく、単純に強い敵がいて、それに立ち向かうために「君のスカート」という強い装備が必要だったのでしょう。でも、主人公のアバターは男性なので、カッコいい甲冑みたいな鎧を装備していたはずです。でも下半身だけスカートになってしまった。そのちぐはぐな装備に苦笑いしてしまった、というわけです。

まあそんな敵とかを倒してたどり着いた先で、オーロラがダンスしているような、美しいマップにたどり着きました。彼女とゲームをおもいきり楽しんでいる場面が想像できますね。



いつでも心は卵だ 割れないように気をつけて

綿毛に守られて 二人は変わらず元気だね

ここは、ちょっと不穏な空気が漂う場面になっています。

「君」の、現実世界に対する恐怖心が強すぎるあまり、主人公の見方がどうも皮肉っぽくなっているところなのかなと。「君の心は卵だね。でも、このゲームの世界なら割れる心配はないね。ずっと元気でいられるよね」みたいな。



誰かがベルを鳴らす

そうだよ 解るだろ?

大サビの、一番盛り上がる部分です。

ここだけを取り出すと、何が言いたいのか意味不明でしたが、上の歌詞の意味をなぞっていくと、意味がわかってきます。

現実世界で、「君」の部屋のインターホンを鳴らしている人物がいる場面です。ゲームで忙しい「君」は、無視しようとします。

でも、「君」は、ふと気が付きます。ゲームで隣にずっといたはずの、主人公がいない、と。

そして、主人公は「君」に対して、ことあるたびに「現実」の話をしてきました。それをいつもいつも、軽く無視していたけれど……。

「……まさか……?」

「君」は、ドアの向こう側にいる人影に、話しかけます。

ドアの向こう側から、

「そうだよ 解るだろ?」

と返事が返ってきました。



こんな感じで解釈してみましたが、いかがでしょうか?

「骨の髄まで愛してよ」と連呼しているのは、仮想世界にどっぷりハマった君に対する、主人公の「現実の僕を好きになってほしい」という願望だったわけです。

ここでは、ゲームの世界というふうにして解釈してみましたが、マサムネさんがこの曲を作った頃は、まだファミリーコンピュータの時代でした。仮想世界なんて、普通の人にはまず想像が及ばないところだったと思います。

そんな時代に、こういう想像をしてのけているということ自体、天才だったんじゃないかなと。




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