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スピッツ「心の底から」は、ファミコンを心の底から愛してるという話だった説。



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「心の底から」について解釈していきたいと思います。

ブログタイトルにもありますとおり、私はこの詞は、「ファミコンを愛している」という話だと思っています。ゲームがとことん好きで、めっちゃやりこんでまーす、って話だと思います。

というより、そもそもですけど、こんな詞を書き上げようとしたきっかけのほうを想像しちゃいます。たぶんですけど、マサムネさんは詞の中で「心の底から愛してる」っていう、キザなセリフを使いたかったんだと思います。「心の底から愛してる」って、シラフでは言えないような恥ずかしいセリフを、詞の中に入れてみたい、っていう、ある意味ロック魂があったのだと思います。

とはいえ、本当に女性に対する愛情を描いたうえで「心の底から愛してる」なんて決めゼリフのように使ったら、そりゃあもう目も当てられないぐらい、ダサい曲になってしまいます。素人が作ったのか!??!ってぐらいのモノに、成り下がってしまいます。俳句とかでもそうですよね。素人が読みそうな題材を句にすることは、上級者ほど避けます。それだけ、「心の底から愛してる」っていうフレーズは、技術的に、扱いが難しいのです。

でも、マサムネさんはチャレンジャーなので、「どうにかして、このフレーズ使いたいなぁ……」と思っていたに違いありません。そこで苦肉の策として、「一見して、よくわからないものを題材にして、それを愛しているということにしてみてはどうだろう?」っていう手法にたどり着いたんじゃないかなと。これなら、「心の底から愛してる」の対象がボケます。それに、自分たちも、恥ずかしがらずに堂々と、「心の底から愛してる!」って叫べます。

つまり、この曲は、マサムネさんが「心の底から愛してる!」と、堂々と言いたいがためだけの曲、というわけです。

陳腐になりがちの、上級者ほど避けがちの分野に、マサムネさんが堂々を足を踏み入れて、しかも上手に消化している。音楽上級者ほど、ドギモを抜かれるというわけですね。たぶんマサムネさんは、この詞を仕上げた時には、してやったり、みたいな顔をしていたのではないのでしょうか。


という感じなので、正直、詞の内容については深掘りしても、他のモノと比べてもそんなにビックリするような内容にはなっていないと思います。

でも一応内容が知りたいという方は、どうぞお付き合いくださいませ。

詞を順番に眺めていきましょう。




いつもより無邪気に 腕ふり 風を切り

ファミコン時代の、ドラクエとか、FFなどのロールプレイングゲームをやったり見たりしたこと、ありますでしょうか? 主人公が移動する際、手をブンブン降っているんですよね。当時はドットも荒かったので、大きく振りかぶるような動作でないと、歩いている感じがしかったんです。この詞の部分は、当時のテレビゲームの、もっとも特徴的な部分を表しているんじゃないかなと。



ひと握りくらいの 疲れをバネにして

ロールプレイングゲームといえば、レベル上げです。周辺をわざとウロウロして敵と遭遇し、敵を倒してひたすら経験値を稼いでレベルを上げて、キャラクターを強くするということをします。それをすればするほど、ゲームが簡単になるのです。なので、レベルがあがるとテンションが上がるんですよね。なので、レベル上げは面倒くさい作業なんですけど、ついやってしまいます。その面倒さが、疲れが、達成感に繋がるんですね。



すすめ!まだまだ 明日をあきらめないで

きっと どこかで 窓を開けて待ってる

「すすめ!」は、自分が操作しているキャラクターたちに向かって言っているのだと思います。この時代のゲームは、カタカナとひらがなしか表現できなかったので、ここもひらがなで「すすめ!」となっています。

強敵に遭遇してやられてしまい、ゲームオーバーになりましたが、まだまだゲームを辞めません。「明日をあきらめないで」という気持ちになっています。頑張れば、どこかでクリアできるはずだから、と。



心の底から愛してる 今でも奇跡を信じてる

天使のパワーで 悪魔のパワーで

取り戻せ ありふれたストーリー

「天使のパワーで 悪魔のパワーで」という部分が、この詞の中でゲーム要素をもっとも感じる部分です。パワーっていう、なんか子供が好んで使いそうな言葉をわざとチョイスしているのも、そのためでしょう。

「うおーっ!俺は心の底から、スーパーファミコンを愛してるぜ! この歳になった今でも、現実に魔法使いとか宇宙人とかがいて、奇跡を起こしてるって信じてるから! もし俺が選ばれし勇者になったら、天使のパワーとか、悪魔のパワーとか使って、世界を救って姫と結婚するっていう、ありふれたストーリーにならねえかな?!」っていいたいんじゃないかなと。



陽の光まぶたに受けて真赤な海で

金縛りみたいに ごろごろもがいてる

とばせ!魂を 高い柵の向こうまで

白い小さな花になる いつかは

「陽の光まぶたに受けて」とは、日中なのに家に引きこもってゲームばっかりしている、ということを言いたいのだと思います。「真赤な海で 金縛りみたいに ごろごろもがいてる」は、ゲーム後半で地獄みたいな設定の、マグマの海に到達したのだと思います。そこで道に迷ってしまい、敵も強くて何もできず、ごろごろもがいているんじゃないかなと。

「すすめ!」は、自分が操作するキャラクターに向けて言っていますが、「とばせ!」は、自分自身に命じているのかなと。自分が、高い柵つまり画面の向こう側に行こうとしているんだと思います。

「白い小さな花になる いつかは」は、こんなゲームばっかりやってる俺だけど、まあ何かの役には立つ人間にいつかなるから、大丈夫っしょ、と、言い訳している部分だと思います。



心の底から愛してる 世界の終わりがもう見える

銀河のシャワーを バベルのタワーで

吸い込め 涙のグローリー

「世界の終わりがもう見える」は、ゲームのエンディングが見えてきたという意味かもしれません。もしくは、やらなきゃいけない音楽活動をほったらかしてゲームに夢中になっている、マサムネさんの人生の終りが見えてきている、という解釈もできそうですね。「心の底から愛してる」のは、ゲームに対してなので、いい意味としても、悪い意味としても捉えることができます。はたして、どちらなのでしょう?

「銀河のシャワーを バベルのタワーで 吸い込め 涙のグローリー」もまた、ゲームのエンディングになぞられている表現だと思います。ゲーム終盤は、バベルのタワーみたいな伝説のダンジョンみたいな場所が目的地になりますし、そこで銀河みたいな壮大なものが登場します。そして、エンディングとなれば、涙なしではいられません。グローリーは賞賛という意味です。マサムネさんは、ゲームの主人公たちを、涙を流して賞賛しているのだと思います。どっぷり、ストーリーを楽しんでいますね。




という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?

最初に申し上げました通り、この詞は、「心の底から愛してる」という、技術的に難易度の高いワードを放り込むために設計された詞なのです。なので詞の内容にそんなに意味がない…とまでは言いませんけれども、もしかしたら深掘りしなかったときのほうが、いろいろ想像できて楽しめていたかもしれません。

意味を掘らないで、雰囲気を楽しむ、というのもまた、立派な詞の楽しみ方なのだと思います。





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