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スピッツ「君と暮らせたら」は、初恋を懐かしむ曲だった説。



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「君と暮らせたら」について解釈していきたいと思います。

この曲は、どうも初恋の綺麗さについて表現したかったのかな、と私は想像しています。今現在の普通の恋愛ではなく、幼いころに抱いた恋心について、懐かしんでいるような、そんな曲だと思います。


逆に言えば、「君と暮らせたら」は、君と暮らすことをテーマにした曲ではないのです。


この詞には、今現在の、大人の恋愛のリアルさが一切入っていません。「君と暮らせたら」なんてタイトルなのに、君と暮らすためのモロモロが一切ないのです。一緒に暮らすことをテーマにするなら、例えば平松愛理さんの「部屋とYシャツと私」みたいな詞になるはずなのです。「部屋とYシャツと私 愛するあなたのため毎日磨いていたいから ときどき服を買ってね」とか「あなた浮気したら うちでの食事に気を付けて 私は知恵をしぼって 毒入りスープで一緒にいこう」とか、そういう詞になるはずなのです。

スピッツの「君と暮らせたら」はあくまで、幼いころに抱いた「君と暮らせたら」という願望のみに絞って描かれた、願望だけの曲なのです。幻想的とも思える世界観で、恋の感情だけにすべて感覚を研ぎ澄ませているような、そんな感じがします。

このくらい背景を絞ると、より詞の内容が鮮明になってくると思います。

順番に詞を眺めていきましょう。




緑のトンネル抜けて 朝の光に洗われるような

わずかな微笑みさえも 残らずみんな 分けあえるような

可愛い歳月を 君と暮らせたら

「可愛い歳月」とは、幼い日々という意味だと思います。わかりやすく言い換えると、「何も知らない幼いころに戻って、君と暮らせたら」ということかなと。見た目は子供で頭脳は大人な、名探偵コナンみたいな感じではなくて、本当に何も知らない、恋愛の感覚だけがみずみずしい、幼いころの二人に戻るということです。

そうすることで、今はほとんど何も感じなくなってしまった、「朝の光に洗われるような」感覚を味わうことができるし、「わずかな微笑みさえも 残らずみんな 分けあえるような」感覚を味わうことができるのです。



ジグザグこだましながら 声が遠くまで 届いていきそうな

見上げれば 雲の流れに 今いる場所を 忘れちゃいそうな

寂しいあの街で 君と暮らせたら

ここも同じですね。「ジグザグこだましながら 声が遠くまで 届いていきそうな」感覚は、大人になったら何も思わなくなります。感動もなにもないのです。「見上げれば 雲の流れに 今いる場所を 忘れちゃいそうな」なんてのも、みずみずしさを失った大人には、わかりません。

君と暮らすのを「寂しいあの街」にてやりたいと思うのは、思い入れのある街が寂しい街だったというのもありますが、刺激の多い賑やかすぎる街だと、自分のこの感覚がすぐに失われてしまうからというのも、あるのかもしれません。

「君と暮らせたら」は、君と暮らすことそのものが目的ではなく、自分の淡い感覚に耳をすますのが目的なのです。



十五の頃の スキだらけの 僕に笑われて

今日も眠りの世界へと すべり落ちていく

「スキだらけ」とありますが、これは「隙」ではなく「好き」のことかなと思います。剣道家じゃないので、隙があることはこの詞とあんまり関係ないんですよね。そうなるとここは、「好きだらけ」ということになります。

マサムネさんが十五歳の頃は、たぶん沢山の人に恋をしていたと思います。初恋の人とはとっくの昔に縁がなくなり、あっちこっちの女子たちのお尻を追いかけまわしていたことでしょう。今日はA子ちゃんのことが好きでも、明日にはB子ちゃんのことが好きになっていたと思います。

そんな十五の頃のマサムネさんが、この詞を発表した当時の二五歳ぐらいになっている今のマサムネさんを見たら、どう思うでしょう? いくらアーティストとしての感覚を研ぎ澄ますうえで必要なこととはいえ、初恋のことをいまだに引きずって「あの頃に戻りたい、うじうじ」みたいな姿勢を、十五のクソガキマサムネさんが見たら、どう思うでしょう? 「僕に笑われて」程度では、すまないんじゃないかなと。めっちゃバカにするに違いありません。

そんな十五のマサムネさんが自分を指してゲラゲラ笑っているのを横目で見ながら、二五歳のマサムネさんは今日も眠りにつきます。幼い日の初恋の人と、幼い日の自分が、緑のトンネルを抜けた先で一緒に暮らしている光景を想像しながら……




という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?

個人的にはこの曲はめっちゃ好きです。詞がとにかく綺麗だからです。スピッツの詞の特徴として、とにかく言葉が綺麗というのがありますが、その中でもこの詞は、とくに綺麗な言葉が、意識的に散りばめられています。

この詞を解釈してみた感想ですが、マサムネさんはこの詞を通じて「こっち」の世界に誘っているつもりなのかもしれません。「初恋の世界はいいよ~。十五の自分に笑われるかもしれないけれど、この感覚だけは、どこでも味わうことのできない感覚だから。一緒にそれに浸ろうよ」と。

すごく綺麗で、心が動かされる幻想の世界。そんな世界に初恋は誘ってくれるのです。




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