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スピッツ「スーパーノヴァ」は、試行錯誤の曲だった説。



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツ「スーパーノヴァ」について解釈していきたいと思います。

この曲は、ロックでドカーンと大きなムーブメントを起こしたいと思っているマサムネさんによる、作詞作曲を試行錯誤していることを表現した曲だと思います。地獄とか、稲妻とか、革命とか、燃やそうよ、とか、めっちゃ攻撃的な言葉が使われていますが、詞全体の内容を追っていくと、ああでもない、こうでもない、とひとり苦悩している様子が描かれているような感じで、とても人間的というか、かわいいというか、そういう内容になっています。

順番に詞を眺めていきましょう。




破り捨てた祈り縫い合わせて破って

弾け飛ぶ光は涙のせいじゃなかった

マサムネさんにとって「祈り」とは何かというと、スピッツの詞のことだと思います。小説家にとっての祈りは小説であるし、画家によっての祈りは絵画になります。アーティストにとっての「祈り」とは、作品そのもののことを指します。創作活動とは、祈りなのです。

マサムネさんは、せっかく作った「祈り」を、破り捨てています。「はい、ボツ!」としたのです。

いくら天才マサムネさんといえども、天才的な詞をボンボン量産できるわけではありません。むしろ作品を見る目が厳しい分、マサムネさんのお眼鏡にかなうような品質の詞は、ごくわずかでしょう。ボツにした作品でも、もう一度振り返って、いろいろ言葉を違った組み合わせたり、縫い合わせたりして、悪あがきをしたりしますが、やっぱり完成度が高くならなくて、「やっぱり、ボツはボツ!」と破ってしまいます。そういう厳しい品質管理のもと、歌詞を作っていることが伺えます。

「弾け飛ぶ光」ですが、これは自分の歌詞制作を、刀剣の鍛冶に見立てている部分なのかなと。

後ででてきますけれども、どうも歌詞を、熱量のあるものに例えたいと思っているようです。スーパーノヴァなんか、まさにそうですね。スーパーノヴァは宇宙にある星が大爆発して、考えられないくらいの熱と光をドカーンと放つことを指しますが、マサムネさんも自分の作品で、スーパーノヴァみたいな熱狂を起こしたいと考えています。

とはいうものの、自分が今手掛けている詞は、ハンマーで、キン、キン、と叩いて、火花が散っているぐらい。とてもスーパーノヴァみたいな光と熱を、生みそうにありません。なんでこんなに熱量がないんだ、と自問自答します。「もしかして涙が出るような曲だから、熱量もそんなにないんだろうか?」と思いますが、いやいや、とマサムネさんは首を横に振ります。「おれの詞に、みんなを動かすような熱量がないのは、涙のせいじゃない。おれの技量のせいだ…」と。



稲妻のバイクで東京から地獄まで膨らみもくぼみも

迷わず駆け抜けた

詞の中に熱量を込めるために、マサムネさんは仕入れをしようと思っています。今の頭の中にある手持ちでは、とてもスーパーノヴァを起こせそうにありません。なので、「稲妻のバイク」という、自分の稲妻のようなインスピレーションの赴くまま、「東京から地獄まで」つまり、今住んでいる日常から、地獄のような灼熱の熱気のある場所へと、いそいそ出かけていこうと思っています。「地獄」というのは、ただ熱量のある場所というだけではなく、悪い場所という意味も込められていそうです。正攻法では、どうしても自分の限界を超えることができないので、地獄の悪鬼にも魂を売る覚悟で、地獄っぽい場所にいって、自分の感性を拡大しようとしているのではないかなと。

アメリカのアーティストであるエミネムは、薬物、貧困、誹謗中傷など、人々の闇にせまる楽曲を手掛けたことで、世界でももっとも売れたアーティストになりました。エミネムは、世界中を熱狂させ、スーパーノヴァを起こしたアーティストの一人といってもいいでしょう。この時のマサムネさんもまた、自分の世界を拡張していくために、自分にはない要素を貪欲に取り入れようとしていたことでしょう。「膨らみもくぼみも 迷わず駆け抜けた」つまり、地獄みたいな世界観を取り入れたことで、スピッツのさわやか世界に、不都合な膨らみやくぼみなどのデコボコが生じてきたとしても、迷わず駆け抜けていく覚悟だと、言いたいのだと思います。



愛すべきものはあのスーパーノヴァ

鋼鉄のハートも溶けそうな

先に述べたエミネムの活躍は、この詞が収録されているアルバム「フェイクファー」の発売より後になりますので、ここのスーパーノヴァに当てはまるアーティスト、あるいは楽曲は、別の人になるでしょう。ゴリゴリのロックによる熱狂を表していると思うので、ビートルズやクイーンはちょっとテイストが違うかもしれません。またPPMやボブディランといった、フォークロックとも違うと思います。うーん、この八百屋さんの音楽知識は大変貧弱なので、該当するアーティストがよくわかりませんが、たぶん、エミネムみたいなのが当てはまると思います。マサムネさんは、そういうのに憧れを抱いていたのだと思います。スピッツのロビンソンやチェリー、空も飛べるはずは、火花程度の熱量だと痛感しています。「鋼鉄のハート」は溶けないと痛感しています。もっと、もっと、熱いロックをやりたい……! そんな願望が、このサビから伝わってくるようです。



オレンジ色の絵の具で汚し合う朝まで

似てないようで似てる二人は気付いてた

ここは、女性と一夜をともにした場面だと思います。この女性とマサムネさんは特別親しい仲で、仕事の悩みとか、楽曲についての相談もさかんにしていた間柄だったのだと思います。恋人でもあるし、マサムネさんを支えるよきパートナーって感じの人だと思います。

この女性に対して、夜の営みについての相談をもちかけます。「すみません。新しい音楽のチャレンジを今考えているんですけど、それに伴って、新しい感性が必要なんです。なんか特別熱い性行為をやってみたら、ぼくの何かが開花すると思うんですけど、すみませんが、お付き合いしてもらえますか?」と。女性も、すでにマサムネさんの思考について、ある程度理解していたので「ああ、はいはい。わかりました。お付き合いしますよ。やりましょうか」と、二つ返事で協力してくれたのだと思います。

そこで行われた性行為は、「オレンジ色の絵の具で汚し合う朝まで」ということですが、何かの比喩かもしれませんし、本当にオレンジ色の絵具でお互いの身体を汚し合ったのかもしれません。

でも、二人は途中から気づきました。「これ、あんまり意味なくね…?」と。新しいことにチャレンジしているつもりでしたけれども、今までやってきたことと「似てないようで似てる」と思ったのです。形だけ、外側だけ新しくても、根本的なものを変えないと、似たものに仕上がる、ということです。一晩中かかって全身オレンジ色まみれになってはみたものの、マサムネさんを新たな境地に誘うことはできませんでした。二人の、この訳の分からない努力は、むなしく徒労に終わったということです。

新しいものを産み出すということは、その裏には、膨大な徒労があるということを言いたかったのだと思います。



愛すべきものはあのスーパーノヴァ

ひとつ残らず燃やそうよ

マサムネさんは、新しい曲でスーパーノヴァを起こして、みんなの心をひとつ残らず燃やしたいと思っています。



どうでもいい季節に革命を夢見てた

公衆トイレの壁に古い言葉並べた

この部分もまた、「どういう詞を書いたら、みんなの心にスーパーノヴァを起こせるのだろう?」ということを考えている場面だと思います。

「どうでもいい季節に革命を夢見てた」のは、マサムネさんの戦略です。ほかのアーティストは、クリスマスソングとか、卒業ソングとか、ここぞという季節を狙って曲を作ったりします。でも、正直クリスマスソングとか、世の中に溢れすぎているんですよね。恋人はサンタクロースとか、クリスマスキャロルとか、いつかのメリークリスマスとかは、けっこう古い曲ですけど、未だにずーっと街中で使われていますよね。これらの名曲にとってかわるのは、めっちゃしんどいと思います。この状況で、新たにクリスマスソングを手掛けるのは、レッドオーシャンに挑むようなものです。クリスマスソングに革命を起こすのは、戦略的ではありません。

それよりも、例えば七夕用に、涙がキラリ☆を手掛けたりしたほうが、まだ七夕用ソングとしてスピッツが採用される可能性があります。七夕ソングを手掛けているアーティストが少ないですから。

「公衆トイレの壁に古い言葉並べた」は、汚い場所に使い古した言葉を封印しておく、という意味なのかなと。使い古した言葉というのは、作詞家にとっては穢れに似ていて、忌むべき言葉となります。なるべく新しい感性が宿った新しい言葉を使った方が、新しい感性を持つ人に響くのです。これもまた、スーパーノヴァを起こすのに必須な条件といえるでしょう。君が代は、日本語の中でも最高峰の、めっちゃ美しい言葉で構成されていますが、だからといって君が代で、いまさらスーパーノヴァを起こせるとは思えないでしょう。

新しい言葉を探しに、この後マサムネさんは、地獄までまっすぐ突き進んでいくのです。




という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?

スーパーノヴァというタイトルは、めっちゃカッコいいですよね。これが、私の上記の解釈どおり、マサムネさんの売れたい願望を意味しているのだとしたら、めっちゃストレートなタイトルだと思います。

またこの時期、マサムネさんの目指している場所がどのへんだったのかを、この詞の解釈を通じて、おぼろげながらに知ることができると思います。





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