スピッツ「さらばユニヴァース」は、指輪物語説~スピッツ歌詞解釈~




こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、スピッツの「さらばユニヴァース」について解釈していこうと思います。

今回のブログタイトルは「指輪物語説」としましたが、たぶん指輪物語か、それをオマージュした作品をモチーフにしたものでしょう。

指輪物語が発表されて以降、いろんな物語や創作物に、指輪物語のオマージュが入っていますからね。それだけ、指輪物語の影響力は大きなものです。映画「ロード・オブ・ザ・リング」を見て、「この展開、どっかで見たことあるなぁ」と感じましたなら、まさにそういうことです。

知らない人に申し上げておきますと、指輪物語の指輪というのは、悪い念が込められています。不思議な力で所有者になった人間のパワーを増大させ、富や勝利などを呼び込んでくれますが、同時にそれは所有者を破滅へと導いてしまうのです。なぜなら指輪の目的は世界の破滅で、そのために所有者の望むものを与えていたのです。望むものを限りなく与えることで、欲望を限りなく増大させる必要があったからです。

ツイッターにいるひとはよくふざけて「5000兆円欲しい」とか願っていますが、本当に5000兆円がひとりの一般人の手元に舞いこんだら、どうなるでしょう? 有象無象の人が、こぞってその人に群がることになるでしょう。同時に、多くの妬みや嫉妬を買うことにもなります。発言権が大きくなることを恐れた政府により、暗殺されるかもしれません。こういう危機から身を守るために、別の国家や機関を頼る。この頼られた機関の軍事力が、お金の力で増大する。この間、利用されるだけ利用され、さんざん恨みや嫉妬に晒され、危ない目にまであった5000兆円の持ち主は、増大した軍事力を、復讐のために使おうとする……。どうですかこのシナリオ。強すぎる指輪の力が人間を滅ぼすという物語は、現代においてもまあまあ理解できる内容なのではないのでしょうか。


この、悪い指輪は、この「さらばユニヴァース」の詞においては、どんな役割を果たしているのでしょう?

歌詞をみながら、解釈していこうと思います。



半端な言葉でも 暗いまなざしでも

何だって俺にくれ!

悲しみを塗り潰そう 君はどう思ってる?

ここでは、「俺」は、人間ではなく、特別な能力を持った指輪なのかなと。俺は欲望を叶える指輪なので「半端な言葉でも暗いまなざしでも何だって俺にくれ! その不満を解消させてやろう。そして、悲しみを塗り潰そう。絶対解消されるから。ねえねえ俺って偉い? 俺のことどう思ってる? 所有してよかったって思うでしょ? ねえねえ」と言っています。



会えそうで会えなくて 泣いたりした後で

声が届いちゃったりして

引き合ってる 絶対そう 君はどう思ってる?

指輪は、持ち主を探しています。そして「君」という持ち主をやっと見つけたようです。こういう物語では、よく主人公が伝説の武具から、頭の中に直接語り掛けられます。「我の持ち主となるモノよ。我の声が聞こえたならば、そこの封印の扉を開けよ」って感じで、主人公が自ら掴み取っていっているような演出ですけど、その実は、武具のほうが主人公に取らせにいっている感じですよね。

この詞の指輪も「えっ、君が来る? やったー! ついに君の手にハマる時が来たね! おーいここだぞ、ここだってば、ねえ、聞こえないの? ねえってば! おいおいスルーされた? えっマジ、泣きそう…」みたいに、何回もスルーされた後で、「あれ? なんか私を呼んでる…?」と、君が気が付いたと。

こういう、何度かスルーされてからの、「引き合ってるよ! 絶対そうだよ!」と信じて疑わない指輪の姿勢は、どこかポンコツ感があります。「どう思ってる? どう思ってる?」と、何度も聞いちゃう感じも、そのポンコツ感に拍車がかかっています。指輪は、「君」の望みを汲み取る能力が低いのかもしれません。



それは謎の指輪 いつかドリーミーな日には

君が望むような デコボコの宇宙へつなぐ

この詞で語られている「謎の指輪」は、確かに指輪物語になぞられた、不思議な力をもっている指輪なのかもしれませんが、持ち主を介して世界を破壊に導くような、悪辣なものではなさそうです。ただ純粋に、君の望みをかなえてあげたいと願う、でもちょっとその方向性に不安が残る、お茶目な指輪なのかもしれません。「謎の指輪」と紹介されてしまっていますし、君が本当に望んでいるかもわかりませんが、行きつく先が「デコボコの宇宙」なのですから。



それは謎の指輪 さらばシャレたユニヴァース

君が望むような デコボコの宇宙へつなぐ

「シャレたユニヴァース」とは、虚栄に支配された、かっこいい今の宇宙のことを指します。人間社会は、虚栄のほか、貪食、淫蕩、金銭欲、怒り、悲嘆、怠惰、高慢に支配されているとされています。こういうものが人間社会を作り、時には壊したりしてきました。「君」もまた、これらの罪にとらわれ、悲しい想いをしてきたのでしょう。これらの罪がもたらしたものには、もちろんいい面もありますが、悪い面もあります。「君」は、そんな「シャレたユニヴァ―ス」に、サヨナラをして、別の次元に旅立とうとしています。指輪が、それを可能にしてくれたのです。



という感じで解釈してみましたが、いかがでしたでしょうか?

この「さらばユニヴァース」が収録されているアルバム「隼」は、黒が基調になっているアルバムで、まさにこの詞のユニヴァースが顔であるかのように感じてしまいます。他にも「宇宙虫」や「俺の赤い星」など、どこか宇宙を意識したような曲が収録されています。宇宙、というと、なにやら壮大で、触れられざる物、というイメージがありますが、例えばこの「さらばユニヴァース」のように、詞を通じて感じられる宇宙観というものがあります。

マサムネさんは、宇宙を、どのように感じているのか。

それを詞に割り当てたられた役割から探ってみるというのも、面白いかもしれませんね。



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