福井市民は、新鮮な野菜を食べることができないという話~本当は怖い福井県~

更新日:11月6日



こんにちは。八百屋テクテクです。

今回は、福井市民にまつわる、ある不幸をお話していこうと思います。

ブログタイトルにもありますとおり、福井市民は、新鮮な野菜を手に入れることができない状態にある、という話です。

正直、大阪や東京などで買う野菜のほうが、福井市で買う野菜と比べて、よっぽど鮮度がいいんです。


「えっ? 福井って田舎でしょ? 田舎なら野菜とか作ってる人、沢山いるんじゃないの?」


と思いましたか。そうですよね。確かに大阪や東京では、農業をしている人の方が少ないでしょうし、大阪産の野菜や東京産の野菜がふんだんにある、だなんてことは、ないと思います。一方で福井市は、福井市中心から一歩外にいけば、田んぼだらけです。農業がさかんなことが、一目でわかります。

でも確かに、大阪や東京で売られている野菜のほうが、福井市で売られている野菜と比べても、新鮮なのです。

このカラクリ、どういうことかわかりますか?

理由は2つあります。2つもあります



理由の1つ目は、野菜を作る農家さんが少ない、という点です。

みなさん。地元の野菜を食べていますでしょうか?

このブログタイトルにつられてやってきたということは、これをご覧になっている方は、福井市民でしょうか。福井市民だとしたら、福井市産あるいは福井県産の野菜を、意識して食べていますでしょうか? 大半の人は、そうではないと思います。スーパーで手に入る野菜において、福井県産のものは、とても少ないからです。

福井の農家さんというのは、稲作農家さんが中心です。さきほど、田んぼばかり、と言いましたが、そうです。田んぼはお米を作るところで、野菜を作るところではありません。じゃあ野菜はどこで作っているのだろう? と思って福井市内を眺めてみると、実は畑作の面積は以外なほどに少ないことに気が付きます。作る人がいなければ、そりゃあ当然、出回る野菜も少ないですよね。

では、福井市民が食べている野菜は、どこから来るのでしょう? スーパーの産地をよく見てみると、福井以外の産地がとても多いです。春先に出回るのは熊本など九州産。薬味は四国産。キャベツやトマト、キュウリ、大根などよく使う野菜は愛知や岐阜、群馬、神奈川、茨城産。じゃがいも、玉ねぎ、人参は北海道産です。こうしてみると、ありとあらゆる野菜を、他県から仕入れていることがわかります。

これらの野菜は、直接福井に来るわけではありません。毎日野菜を使うからといって、北海道や熊本から、産地直送便が毎日福井に向けて発着しているわけではないんです。野菜というのはまず、収穫したら、地元の農協に持って行きます。そこで大きさ等により選別され箱詰めされて、全国の主要市場に向けて発送されます。東京都中央卸売市場や、大阪中央卸売市場などです。そこから、地方の市場に向けて発送されるという流れになっています。福井に入ってくる野菜は、東京や大阪、京都、愛知の市場を経由した野菜というわけなのです。

この仕組みだと、東京や大阪のスーパーに並ぶ野菜と比べても、1~2日は並ぶのが遅いというのがわかりますよね。1~2日というのは最短での話で、実際は在庫にして需給のバランスを調整していることも多いですから、場合によっては1週間から1ヵ月くらい、倉庫から出てこない野菜もあったりします。

福井県の、とくに嶺北はまわりを山に囲まれている陸の孤島みたいなところがありますから、Amazonの到着だって他県と比べて遅いことがありますよね。流通という視点から福井県を眺めると、福井というのは、けっして恵まれている地域とは言えないのです。ましてや野菜という、スピードが大事な分野においては、これは致命的と言えるでしょう。福井県民の野菜事情というのは、まさしくAmazonを利用するのと似たようなものなのです。東京や大阪などの主要都市にお願いして、野菜を卸してもらっている立場なのですから。



理由の2つめは、福井市はスーパー激戦区だという点です。

理由の1つ目は、福井県内の事情でした。福井県内に流通している野菜は、他県と比べてもスピード感がない事情をお話しましたが、福井市は福井県内においても、特にまずい状況にある、というのが、2番目の話になります。


「えっ? スーパー激戦区なら、お互い切磋琢磨しあって、いいものができるんじゃないの?」


と思いましたか。そうです。確かに福井市内のスーパーは、どこもレベルが高いです。スーパーが切磋琢磨しあっているおかげて、お惣菜はどこも美味しいし、日用品や飲料、お菓子やカップ麺などは、陳列が綺麗で選びやすく、そこそこ安い値段で手に入ります。レジも丁寧なので、気持ちよくお買い物ができます。そういう、いい面もあります。

ただし、野菜に関しては、激戦区というのは、悪いほうに作用します。ようは、野菜の売り場が、人口に対して広くなりすぎるのです。

都会のスーパーというのは、狭い売り場面積で上手にやりくりしていますよね。野菜を乗せておく棚に野菜があんまり乗らないので、バックヤードの冷蔵庫からこまめに野菜を補充する必要があります。この、こまめな補充のおかげで、いつ買い物にいっても、新鮮な野菜を買うことができるのです。

一方の田舎のスーパーは、売り場面積が広くなりがちです。アメリカのウォルマートによる、大きな売り場にドーンと商品を並べているスタイルに感銘を受けて、日本でもそういうスーパーが乱立しました。ダイナミックであればあるほど、購買意欲をそそられる、というわけです。なので大根やキャベツがアホみたいにたくさん積まれています。それで、その大量に積まれた野菜が、その日のうちに売れるかというとそうでもないので、明日もそのまま売ります。その間、強いライトで野菜を照らしています。強いライトに熱せられた大量の売れ残りを、私たち田舎の民は、買わされているというわけです。

福井市は都会と比べて、当然人口が少ないです。にもかかわらず、激戦区である福井市には大量にスーパーがあり、熾烈なパイの奪い合いをしているわけです。どのスーパーもより高みを目指して、ウォルマートみたいな沢山売れるスーパーになろうとして、より多くの野菜を、その広すぎる店内に大量に陳列しているわけです。

野菜ですからあまり問題にしないかもしれませんが、これがパンだったらどうでしょう? お客さんが多く一日に何回も焼かなければいけないパン屋さんでは、いつ行っても焼きたてが手に入ります。お客さんが少ないのに売り場が広いパン屋さんでは、一日に一回焼いて終わりなので、売り場に並ぶのは、冷めたパンです。お客さんでにぎわっている回転寿司はお寿司の鮮度がいいですけど、お客さんのいない回転寿司は、回っている寿司が渇いています。

お客さんに対して、広すぎる売り場を持っている福井市内のほとんどのスーパーが、一様に、冷めたパン屋さんや、乾いたお寿司屋さん状態になってしまっている、というわけです。



この二つの理由により、福井市民は、残念ながら、新鮮な野菜を手に入れることができない状況に陥っている、というわけなのです。

いやこれ、実は、大問題だと、私は考えています。

「新鮮な野菜を食べられない」というのは、「美味しいハンバーガーが食べられない」とか「美味しいラーメンが食べられない」といったこととは、次元が違う深刻さです。美味しいハンバーガーやラーメンが食べられない地域は、美味しいハンバーガーチェーンや町中華が出店するチャンスとも捉えることができます。誰か一人が「ヨーシ美味しいハンバーガーを作ってやろう」と一念発起すれば、解決しちゃう話です。

でも、新鮮な野菜が手に入らない、という事態は、その町全体の飲食店のレベルを引き下げてしまうことにも繋がります。


「福井市でご飯食べてきたけど、なんか野菜が美味しくなかったなぁ。田舎だから野菜美味しいと思ってたけど、これなら東京の飲食店のほうが上だわ」


だなんていうことに、なりかねません。

栄養面での深刻さは、いわずもがなです。せっかく手間暇かけて調理したけれど、鮮度劣化により栄養スカスカです、だなんて悲しいですし、食べても美味しくないですよね。

そして、何より大問題だと思っているところは、この問題が構造的なものである点です。これまで説明してきた理由は、どちらも、誰か一人が頑張れば解決できる、という類の問題ではない、ということがわかると思います。福井市内のどこかのスーパーのチーフが「ヨーシ、もっと美味しいものを売ろう」として売り場を縮小すれば、仕事が増えるし売り上げは減るしで、店長に怒られるに決まっているでしょう。農家さんが「ヨーシもっと野菜を作ろう」としても、他県から大量にやってくる野菜を農協が見越して「いや、それは他県から沢山入ってくるから、作らないでください。作っても買い取れません」とダメ出しをしてくるでしょう。



八百屋テクテクで取り扱っている野菜は、福井の野菜です。

それを、主に福井市の人に売っています。

福井市の人は、八百屋テクテクの野菜を食べると、たいてい仰天します。「こんなに美味しい野菜があるなんて!」と。

私は最初、狐につままれたのかと思っていました。なんで、福井の人に、福井の野菜を届けただけで、こんなに喜ばれるのかと。

でも、理由を考えているうちに、「それも、そうだなぁ」と思うようになりました。確かに福井の野菜は、全国的にも美味しい野菜が多いと思います。水も土も綺麗で、気候にも恵まれています。そこで腕のいい農家さんが腕を振るえば、いい野菜ができるのは当然です。問題は、そんないい野菜が福井市内に流通しないばかりか、他県の野菜の、それも鮮度をわざわざ悪くしたものを、福井市民は買っているという点です。

最後はちょっと宣伝チックになってしまいましたが、ちゃんといいものを見分けることが、福井市民がこの構造を打破する突破口になるんじゃないかと、私は思っています。「いい野菜が買いたい。いい野菜を食べたい」ただそう願うだけで、状況は良くなると思います。お客様からの「いい野菜が欲しい」というご要望が、スーパーや市場、農協にとって、もっとも強く変革の力をもたらすものですから。



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