スポーツと音楽は、とても相性がいいと思うんです。
みなさんご存知のとおり、高校野球には必ずブラスバンド部が応援にかけつけます。
高校サッカーにも高校ラグビーにも、テーマ曲があります。
運動会など、音楽がガンガンかかっていますよね。静かな運動会など考えられないです笑
いや試合中よりも、むしろ練習中にこそ音楽のお世話になる人も多いのではないのでしょうか。
音楽を聴きながらランニングしている人、かなり多いと思います。(本当は危ないので推奨しませんが)
あのイチロー選手も、音楽を聴きながらバッティングの練習をしていたそうです。
スポーツのテンションを上げるに、音楽は非常に役に立ってくれるわけです。
さて、私は高校時、陸上部に入部したわけですが、
そこで長距離を走ることに決めました。
マラソン選手になろうと思ったんです。
マラソンって、外から見ていると地味な競技かもしれませんが、
実はあれも短距離と同じく、激しい勝負の世界です。
並んで走っている選手に対して、ぬおーっ、と思いながら抜いたり抜かれたりしています。
短距離と比べても、走る距離が長いだけで、激しい力と力のぶつかり合いであることには、なんら変わりはないわけです。
そういう激しい勝負の世界と相性がいい曲って、探せばいくらでもありそうですね。
例えばB'zなら、「RUN」という曲があります。タイトル通り、走るにはぴったりな曲です。いやB'zのアップテンポの曲なら、たとえどんな曲であろうと、テンションをぶち上げられるでしょう。
T.M.Revolutionなどもいいですね。気持ちをバンバン上げられます。
どんなアーティストでもいいんです。自分のテンションを上げるのにぴったりな曲がきっとあります。
しかし。
スピッツに関しては、他のアーティストと、ちょっと事情が違います。
「夢で見たあの場所に立つ日までぼくらは少しずつ進むあくまでも」夢追い虫
「凍り付きそうでも泡にされようとも君に見せたいのさあのブルー」インディゴ地平線
「恥ずかしくてもまるでダメでもかっこつけてゆく」運命の人
「割れ物は手に持って運べばいいでしょう」スピカ
スピッツの曲たちは、必ずしも、誰かと競争して勝とうとするのに適した曲だというわけではないということなのです。
スピッツの性格からすると、当たり前といえば当たり前なんですね。
彼らの音楽は、私たちに寄り添って、私たちの少し後を影のようにひたひたとついてきてくれるような曲なのです。ドーンと前に出てきて私たちの闘争心を煽ったり、けしかけたりするような性格の曲ではないのです。
まあ、でも、そういう曲も、ないことはないのですけれども。
8823などがそうですね。
しかし、アルバム「隼」が発売された頃にはもう陸上部を引退しておりましたが……。
でも、それでいいんです。
誰かと競い合う走り方もあれば、自分のペースを作る走り方もあります。
誰かに勝てなくても、自分に勝つことができれば、それでいいんです。
スピッツの曲たちは、自分たちの立ち位置や実力を認めてくれつつも、そこからほんの少しだけ先に踏み出す力を与えてくれる存在なのです。そっと背中を押してくれる存在なので、いきなりドーンと跳躍はできなくても、少しずつ前には進んで行けそうです。
そして、このスタイルは、私に実によく合ってました。
高校に入ってから3年間、難なく陸上生活を送ることができたのです。
もし、早く走るように急かされていたら、どこかで転んで立ち直れなかったかもしれません。

練習でこういうところを走っていました。
私の陸上部生活は、闘争心とは遠い場所にいて、
ひとりで黄色い花を胸に咲かせたり、猫になりたくなったり、骨の髄まで愛したりしていたのです。