よく、言われてるんです。
八百屋さんって簡単な仕事だって。
とある航空会社の社長さんが、赤字続きの経営にメスを入れようとしたとき、、
役員たちが会社の体面ばかりを気にして、浪費を垂れ流していることに気が付きました。
そこで社長さんは、
「君たちには、八百屋の経営もできないよ」
と言って役員を叱り、会社として利益が出るよう、まともな経営をしろ、
と指示した、という、有名な話があります。
その言葉には「八百屋は経営が簡単」という含みがあります。
たしかに、経営としては、単純なものです。
仕入れたものに値入をつけて、売れれば差額分が利益になるという、単純な仕組みです。
また、スーパーさんの求人をみても、青果コーナーの求人は、他部門と比べても安いんですよね。
鮮魚や精肉コーナーは、加工調理がありますし、
一般食品コーナーは荷物が重いし種類が多いので、重労働。
またレジは、接客という、とても重要な役割を果たさなければならないので、時給がどこよりも高いですね。
一方青果は……他部門に比べて、これといった仕事が思い浮かばない、楽なイメージです。
でも、思うんです。
こんなに簡単だと思われている仕事なのに、どうして、みんなやらないのかと。
八百屋さんは、最近めっきり少なくなりました。
それはスーパーとかで野菜が買えるからだ、ということもありますが、
実は野菜の消費そのものも、ガクンと減っているのです。
そう……。
八百屋さんは、実は、とてつもなく難しい仕事なのです。
この減ってしまった野菜の需要を取り戻すという、とてつもなく難しい課題を抱えているからです。
美味しい野菜の見分け方、保存方法、調理方法、旬、生産地、栄養価、農家さんのこと、農薬のこと……。
野菜を美味しく食べるには、やはり知識が必要です。
八百屋さんは、その知識をもった専門家なのです。
でも、八百屋さんが街からいなくなってしまい、その知識を伝えるひとがいなくなってしまいました。
かわりに、手軽に栄養が取れる健康食品やサプリメント、
カットサラダ、ジュース、お惣菜、などが台頭してきています。
私たちは、野菜本来の美味しさと楽しさを手放して、かわりに手軽さを手に入れました。
確かに、手軽さは大事です。
この現代社会ですから、忙しくて、いちいち料理をしていられない方もいます。
どうしても手軽さをとってしまう方がいても、しょうがないと思います。
でも、手軽さばかりが、正解ではないとも思います。
野菜本来の美味しさや、知る楽しさもまた、
自分の身体と精神を労わるという意味でも、重要なことだと思います。
八百屋テクテクは、野菜の美味しさ、知る楽しさを伝えることで、
美味しい野菜に出会いたいと思っている方、
または、手軽さばかりを追いかけざるを得なかった方にも、
美味しい野菜を手に取ってもらって、食べていただきたいと思っています。
全国の八百屋さんもまた、そういう、難しい課題に、頑張って立ち向かっているのです。
このお話をきいて、ピンときた方は、
ぜひ、八百屋テクテクを応援してくださいね!
