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無農薬野菜がいいの?

「農薬を使っていない野菜は、安心安全で美味しい!」

だなんて、思い込んでいませんか?
八百屋さん視点でいうと、半分正解で、半分不正解です。
 

 


1、農薬がヤバかった時代が確かにあったんです。

 


「農家さんは出荷用に作る野菜は絶対食べない。自分で食べる野菜は別に作る」

なんてこと、聞いたことありませんか?
一昔前の農作業ときいて、私が思い出すのは、農薬を機械でブワーッと散布して、

あたり一面を粉で真っ白けにしている光景でした。

子供の頃は、よくお手伝いとして農作業に駆り出されていたのですが、

作業内容といえば、マスクをして農薬を散布するお仕事でした。
マスクをしても粉塵は吸い込みますから、

すぐにお風呂に入って、牛乳を飲まされました。
牛乳を飲めば解毒されるのか、どうなのか。

効果のほどはよくわかりません。

が、とにかくそういうことをやっていたのです。

 

 

このように、農家さんはあまりに農薬をバンバン散布したせいで、

農薬を吸い込んで薬害を発症した人もいました。

また農薬が土壌や水を汚染したせいで、

周辺住民の生活に悪影響を及ぼしたケースもありました。
流通している野菜も、よく見ると農薬の粉だらけになっているものもありました。

その一方で、農家さんは、自分たちで食べる野菜だけは、別で作っていたのです。

 


いや、これだけ聞くと、農家さんは心無い悪徳業者なのか、

と思われるかもしれませんが、そういう状況になったのも、理由があります。
かつては、そもそも農薬など使っていませんでした。
でも近年になって

 

「形がいいのがいい」とか

「虫くいはちょっとでも許せない」とか、

 

そういうふうに消費者マインドが変わってきたのです。
昔ながらの、形がイビツで虫食いがある野菜よりも、

農薬をバンバン使って綺麗に作った野菜のほうが、

消費者に支持されるようになってきたのです。
このため、農家さんは、

農薬をバンバン使う農法に切り替えざるを得なくなっていったのです。
農家さんも生き残るために、高い農薬をわざわざ買って、

我が子のように育てた大事な野菜を、

薬漬けにせざるを得なくなってしまったのです。


さらに、この状況を逆手にとって、

消費者の不安に付け込んで高額の野菜を売りつける、

という業者もでてきました。


「農薬は怖いですよ、でもこの野菜は無農薬なので安全ですよ」

 

という売り込み方をするのです。

でも「無農薬」「減農薬」とうたいながらも、

残留農薬が検出される事例が続出していたのです。
なぜか。
無農薬や減農薬の基準が明確ではなく、

また農薬を使用した野菜を無農薬とうたっても、

なんの罰則もなかったからです。
なので、不安に付け込まれて高額の無農薬野菜を買わされたけど、

実はその野菜は、普通に流通している野菜以上に農薬を使った野菜だった、

なんていう悲劇も、少なからずあったのです。


こうしたヤバイ状況を改善するために、

農薬周辺の法整備が本格的になされたのは、

2000年台になってからです。

 


食品衛生法によって、使用できる農薬に激しく制限がかかったこと。
「特別栽培農産物」という新ガイドラインができ、

「無農薬」「減農薬」という表記が各地方自治体の

検査を受けなければ表記できなくなったこと。
トレーサビリティ(生産履歴追跡)制度が整い、

出荷する農家さんに責任が発生するようになったこと。
 

 

など、農薬使用についての厳格なルールができました。
現在は、農薬を使用した野菜の安全性も、

無農薬野菜が本当に無農薬かどうかということも、

このルールによって保障されているというわけなのです。
 


2、無農薬野菜の長所と短所

 


冒頭で「無農薬野菜が、安心安全で美味しい」のは、

半分正解で、半分不正解というお話をしました。
これに関する回答をしていきたいと思います。


まず、無農薬で野菜を作るには、条件があります。

①、虫に食べられにくい品目、品種に限定して作る。
畑の中に一つでも虫が湧く野菜があれば、

そこから虫が大量に発生して、感染してしまいます。

虫がつく野菜は、そういう意味でも絶対に作れません。

②、虫が発生しにくい時期に作る。
ほとんどが、春と秋です。夏は虫が湧き、

冬は作物が普通には育ちません。

逆に言えば、夏と冬に作物を育てようと思った場合は、

農薬を含めた、なんらかの処置が必要不可欠となります。

③、被害を受けにくい健康な野菜作りをする。
健康な野菜は、虫にも病気にも強いです。

この健康な野菜を作るには、健康な土壌を作る必要があります。

と言葉でいうのは簡単ですが、これが一番難しいと思います。

人間でいうなら、予防接種を受けさせないけど病気に感染するな、

と言っているようなものですからね。
事実、病気や虫に感染した野菜は出荷できないので、収穫率は下がります。

④、病原体や害虫を物理的にシャットアウトする資材や、

障壁作物などを使う。
病気の感染源になる雨風を防げるという意味でも、

ビニールハウスは有効です。

ほかにも、植えておくだけで虫よけになる作物などもあります。

⑤、虫を手で徹底的に取り除く。
手作業です。大変です。


などです。
これらの条件を見てみますと、

無農薬で野菜を育てるのがいかに大変かが、わかっていただけると思います。
同時に、無農薬野菜の短所というのも、見えてきます。


①の項目にあるように、虫や病気に弱い品目や品種は、

無農薬での栽培はとても難しいです。


「虫が食べるということは、美味しい証拠だ」

 

とはよく言われますが、確かにそういう側面もあります。
虫や病気に強いということは、野生種に近いということです。

野生種は、苦味や渋み、えぐみなどを持つことで、

虫や病気をはねのけて生き残ってきました。

そういえば、道端に生えている雑草って、

あんまり虫に食べられているところを見たことがないですよね。

どんな環境であろうと、健康にスクスクと育っています。

そして、ひとたび口の中に入れば、強烈な苦味と臭みがあります。

野生種とはつまり、そういうことなのです。

 

 

一方、最近出回っている野菜というのは、品種改良により、

苦味や渋み、えぐみなどの成分を少なくし、食べやすくしたものです。
当然、虫や病気にはとても弱くなっています。
そういう意味で、無農薬野菜というのは、野生種に近いので、

野生の苦味や渋み、えぐみがある品種を使用していることが多いのです。


また、これだけ苦労をして対策をしても、

虫や病気に感染する確率は、ゼロにはなりません。
いったん虫や病気に感染してしまえば、

その作物は廃棄せざるをえません。

被害の拡大を防ぐには、そうせざるを得ないのです。
いや、そもそも、虫や病気がつくと、野菜はどうなってしまうのか。
気持ちが悪いとか、見栄えが悪いとか、

そういう見た目的な部分にとどまる話でもないのです。

 


多少の小さな虫食いはともかく、あまりにも激しい虫食いは、

野菜が生命力を奪われてしまっている証拠です。
野菜は、自分で虫を跳ねのける生命力を、ある程度持ち合わせています。

それが、虫食いや病気によって奪われてしまっている状況なのです。

本来野菜が蓄えている栄養も、虫食い部分のフォローに使われるため、

健康な野菜に比べても低いです。

病気に蝕まれた老体のようになってしまっているのです。
そういう野菜は、当然、枯れたり腐ったりするのが、とても早いです。
枯れたり腐ったりするのが早いか遅いかも、

野菜の生命力を測るひとつの目安なんですが、

虫に食われた野菜の傷むスピードはとても早いです。
たまに、虫や病気でボロボロになった野菜を

 

「虫が食べたということは、美味しい野菜の証拠だから」

と言って、好んでお求めになる方がいらっしゃいますが、

私どもはそういう野菜は極力扱わないようにしています。

申し訳ございません。

 


とにかく、無農薬栽培を行うことで発生するリスクは、

農家さんからみても、消費者さんからみても、非常に大きな短所だと思います。

 

 


無農薬野菜の長所というのは、言うまでもなく、

薬害を少しでも小さくできるという点です。

 

「まったく薬を使わない野菜」と、

「安全性が確認されている薬が、微量ながら入っている野菜」

 

この二つの差を大きいとみるか、小さいとみるかによって、

無農薬野菜の価値がそれぞれ変わってくると思います。


また、無農薬野菜は、きちんと顔がみえるような仕組みになっています。
私どもとしましては、こちらに大きな意味があると思っています。
信用できる農家さん、

信頼できる栽培方法で野菜を育てている農家さんであるなら、

安心の度合いが違います。
それは無農薬栽培であろうが、慣行農法であろうが同じではありますが、

どちらにせよ、農家さんの顔が見えて、農業の方針がみえて、

その考えを理解、共感したうえで野菜を買う。

これは、とても意味があることだと思います。
 

 

 


かつて、「無農薬野菜」という言葉ばかりが先行してしまい、

不安を煽って無農薬野菜(を名乗る出所不明の野菜)を購入させる

という商法が幅をきかせた時代がありました。
こうしたことが起こらないよう、

農業の現状、農薬の知識を正しく発信していき、

その上でみなさんに選択をしていただくというのが、

八百屋さんの使命だと考えております。


 

「少しでも安心安全な野菜を」

とお考えの方のために、

これだけは知ってもらいたい